中国メーカー「POP MART」のフィギュアがなぜ人気︖
- 中国の玩具メーカー「POP MART」のフィギュアが人気だと聞きました。どんな会社でなぜ人気があるのか、情報があれば教えてください。
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POP MART は中国語で「泡泡瑪特」(https://www.popmart.com/jp)といい、2010 年に北京で設⽴された、アートトイやフィギュアの企画・製造・販売を手掛ける会社です。POP MART の商品は「Z 世代」をターゲットにしていることから 1990 年後半から 2000 年代に⽣まれた人達がメイン購入層だと考えられます。実際、上海の POP MARTは多くの若者で賑わっており、10 代〜20 代の若い⼥性や若いカップルが目⽴ちます。
中国 SNS で多くの若い⼥性が利⽤しているスマホアプリ「小紅書(REDBOOK)」では、POP MART のアカウントがあります。現時点でのフォロワー数は 51.8 万人で、アカウント内では新商品の紹介や既存商品の PR が⾏われています。また、アカウント内にオンライン店舗が設けられており、スマホから簡単に商品を購入することもできます。
“中国最大の⽣活情報アプリ”と言われる大手口コミサイト“大衆点評”を使⽤したところ、上海には POP MART 店舗が42 店舗あることがわかりました。また、2022 年 9 月には上海市の南京東路駅付近に POP MART 世界旗艦店がオープンしており、上海ではその人気ぶりが伺えます。
ポップマートのアカウント スマホで購入可能
■POP MART が香港市場でIPO
POP MART は 2020 年 12 月 11 日に香港市場で待望の IPO を実施しました。北京本拠の Pop Mart International Group の株価は、IPO 価格から 80%近く上昇して取引を終え、時価総額は 125 億ドル(約 1.3兆円)となりました。創業者は当時 33 歳のワン・ニン(王寧)で、彼の保有資産を IPO 直前の段階で 32 億ドル(約 3320 億円)と試算されました。
創業者のワン・ニンが日本を訪れた際にガチャガチャでカプセル入り玩具からインスピレーションを得て考えた販売手法は、「盲盒(ブラインドボックス)」と呼ばれています。中⾝が⾒えないカプセルに入ったフィギュアを、約 8 ドルで販売、新たな市場を開拓しました。
そして、自社のオリジナルのフィギュアを販売することを思いつき、香港のクリエーターKenny Wong(ケニー・ウォン)氏による Molly シリーズを開発しました。
この 2020 年の段階で 33 都市に 136 店舗を展開、2022 年末までに中国国内に 183 店舗を新たにオープン。
同社が発表したデータによると、2021 年には世界で年間 860 億円の売り上げを記録しています。
上海旗艦店外観 店舗内
■POP MART が原宿で日本一号店を出店
2022 年 7 月 16 日、日本一号店「POP MART 原宿本店」をオープンしました。また日本のほかに、20 年 9 月、同社初の海外直営店を韓国ソウル市江南区で開業。2023 年 1 月と 4 月には、イギリスのロンドンとニュージーランドのオークランドで直営店をオープンしています。
POP MART 原宿本店では、日本の人気デザイナー・大久保博人さんとコラボレーションした「MOLLY ×INSTINCTOY EROSION MOLLY COSTUME」や、中国では 1 秒間で 60,000 個を完売した「SKULLPANDA ANCIENT CASTLE シリーズ」など、人気アイテム約 200 商品をラインナップしています。
弊社の中国人スタッフに聞いてみると、「盲盒(ブラインドボックス)」で中⾝が⾒えないカプセルを購入することをどうみるかで評価が分かれる。フィギュア 1 個約 8 ドルといえば日本円で1,000 円ほど、それだけ支払って欲しいフィギアをゲットできないのは嫌だといいます。しかし人によっては、博打のような⼼理状態で、希少価値のフィギアをゲットすることに快感を覚える消費者も少なくないという話でした。
以 上