中国の電気⾃動⾞(EV)に⾞検制度があるのか︖

中国にも⽇本のような「⾞検制度」はありますか︖特に電気⾃動⾞(EV)はどう扱われているのでしょうか︖


 あります。中国でも⾃動⾞には国家基準に基づく「定期検査制度」が存在し、⼀定の年数や⾞種に応じて検査を受ける義務があります。EVも基本的には同様に検査対象となりますが、検査項目には違いがあります。
 中国の⾃動⾞に対する定期検査制度は、「机动车安全技术检验(⾞両安全技術検査)」と呼ばれ、公安部交通管理局および各地の⾞両管理所(⾞管所)が監督しています。この制度は、中国の国家標準《GB 7258 机动车运⾏安全技术条件》などに基づき実施されており、安全性を維持するための強制制度です。

 乗⽤⾞(9⼈以下の非営業⽤⾞両)については、新⾞登録から最初の6年間は、⼀定の条件を満たせば実⾞検査を免除する「免検制度」が適⽤されます。この場合、所有者はオンラインで申請し、免検証明書を受け取るだけで済みます。ただし、交通違反や事故歴がある場合は免除対象外となり、通常通り検査を受けなければなりません。
 6 年を超えると、2年に1回の定期検査が必要になります。さらに10年を超えた⾞両は、毎年検査を受けることが義務付けられます。この流れは⽇本の「⾞検制度」と似ていますが、検査⾃体は整備を含まず、安全性能の検査が中⼼である点が異なります。⺠間の検査場で⾏われることが多く、検査費⽤も⽐較的安価です。

广汽丰田(トヨタ)铂智3X

 EV(電気⾃動⾞)の場合は、EVもこの定期検査制度の対象です。ガソリン⾞と同様に登録からの年数に応じて検査を受けなければなりません。ただし、EVは排気ガスが出ないため、排ガス検査項目は免除されます。その代わり、高電圧システムの安全性やバッテリー劣化状況など、EV特有の技術的検査が含まれることがあります。
 地域によってはEV⾞両に対して検査予約の優遇や検査免除の延⻑措置など、「グリーンチャンネル」と呼ばれる特例対応を実施しているケースも⾒られます。たとえば、深圳や上海など環境政策に積極的な都市では、EV普及を後押しするために手続きの簡素化が進んでいます。

 なお、検査に関して注意すべき点は、不正改造⾞への罰則が年々強化されていることです。違法な改造(例︓ライトや排気系統の変更)や⾞検切れの⾛⾏は、道路交通法により6点減点や罰⾦、場合によっては⾞両の⼀時押収といった厳しい処分が科されます。

 すなわち、中国にも⽇本と同様に⾃動⾞の定期検査制度は存在し、EVもその対象です。制度の設計や検査頻度、免除制度は⽇本とやや異なり、「⾃⼰責任」と「罰則」による管理⾊が強いのが特徴です。EV普及とともに、今後さらに検査制度もアップデートされる可能性があります。

  
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