今週のトピックス(2025年9月)
2025年9月25日
■中国、小さなマスコットが熱狂呼ぶ、新消費文化「包挂」
中国ではこのところ、バッグに取り付けるプチチャームやマスコット類「(バオグア)」の⼈気が急速に⾼まっている。数⼗⼈⺠元(数百円)程度の⼩物ながら、⼈気キャラクターとのコラボ商品や博物館が企画した文化財モチーフなどが登場し、消費市場に新たな活⼒をもたらしている。フィギュア・玩具の企画開発や販売を手がける泡泡瑪特国際集団(ポップマート・インターナショナル・グループ)の⼈気IP「Labubu(ラブブ)」や短編アニメシリーズ「浪浪⼭⼩妖怪」とのコラボ商品などが話題を集め、各地の博物館も「文物シリーズ」として独⾃の包挂を展開。こうした“包搭⼦(バッグの相棒)”と呼ばれるマスコットが若者を中心に⽀持を広げている。
■市場監管部門、2025年上半期の知財侵害・模倣品取締りを強化
2025 年上半期、中国の市場監督管理部門は、知的財産権の侵害および模倣品の製造・販売に対する全国的な取締りを強化し、各種事案を約24万件摘発した。このうち、国⺠の関心が⾼い商標権侵害や特許詐称といった知的財産権に関する事案は1万7千件に及ぶ。当局は、侵害・模倣が多発する重点分野や重点市場を対象とした特別⾏動を複数実施し、約3万4千回の法執⾏活動を展開。この徹底した監視と取り締まりは、権利者と消費者の正当な利益を保護し、公正で秩序ある市場競争を促進することを目的とする。一連の措置により、⾏政法執⾏の抑⽌⼒を効果的に発揮し、後を絶たない侵害・模倣⾏為の多発傾向に⻭⽌めをかける上で顕著な成果を上げたものである。
■中国、新エネルギー分野で世界をリード ⺠間主導で技術⾰新が加速
「第14次五カ年計画の⾼品質な実施」に関する中国政府の記者会⾒で、新エネルギー分野の技術・設備が世界をリードしている現状が報告された。同分野の特許件数は世界全体の4割を超え、太陽光発電の変換効率や洋上風⼒発電の単機容量は世界記録を更新し続けている。また、次世代蓄電技術の導入規模も世界一と伝えた。この⼒強い発展は⺠間経済が牽引しており、電⼒設備建設や充電サービス事業では⺠間企業の割合が8割を超える。太陽光発電や風⼒発電の主要メーカーも⺠間が担い、電⼒市場の登録事業者数は2020年の5倍にあたる97万社に急増。⺠間主導の技術⾰新と市場の活⼒が⽰された。
■香港、中国本土との境界開発てこ入れへ 進む一体化
⾹港の李家超(ジョン・リー)⾏政⻑官は17日、施政方針演説にあたる施政報告で、中国本土との境界付近を開発する「北部都会区」構想をてこ入れすると表明した。公⽴⼤学での本土からの留学⽣受け入れ枠の増加につながる施策も打ち出し、本土側との一体化が進む。
■テンセント、1800億円の社債発⾏ AIに投資
中国のネットサービス⼤手、騰訊控股(テンセント)は17日、合計で90億元(約1800億円)の社債を23日付で発⾏すると発表した。同社として初めて、中国本土外で⼈⺠元建てで発⾏する。⼈⼯知能(AI)の開発に充て、既存事業の収益性の向上やクラウドを通じてAIのサービスを企業などに提供する事業に注⼒する。
■中国⾦鉱大⼿の紫⾦、海外部門を分離上場 4700億円調達
中国国有⾦鉱最⼤手の紫⾦鉱業集団は19日に⾹港取引所での新規株式公開(IPO)の計画を発表した。海外での採掘事業を手掛ける傘下の紫⾦⻩⾦国際を⾹港で分離上場(スピンオフ)させる。公募増資で約250億⾹港ドル(約4700億円)を調達する。⾦(ゴールド)の価格が⾼騰するなか、海外展開を加速する。
2025年9月18日
■杭州市が「AIロボ」振興3カ年計画、産業年産額6200億円超へ
浙江省杭州市が⼈⼯知能(AI)技術搭載ロボット産業の振興に乗り出す。杭州市経済情報化局は9⽇、「インテリジェント・ロボットのサプライチェーン強化・補完3カ年⾏動計画(2025〜27年)」の公開意⾒募集を開始した。2027年のAI搭載ロボット完成機業界の⼯業総生産額を200億⼈⺠元(約4140億円)超、産業チェーン全体の⼯業総生産額を300億⼈⺠元(約6210億円)超に引き上げるよう指導する。ヒューマノイド・ロボットの開発を中⼼に、AI 搭載産業の技術攻略、製品供給、⽤途拡張、生態系育成を⽀援する。
■ビッグデータ分野向けIT投資額、中国は29年に730.2億ドル規模へ
米調査会社IDCの報告内容によると、世界全体の投資規模は、2025年に4134億米ドル(約60兆1000億円)に伸びる⾒通し。その後も年間平均成⻑率(CAGR)が16.4%に達し、29年の時点では総額7497億米ドルに膨らむとみられる。中国のビッグデータ分野向けIT投資額は、年間平均成⻑率が20.5%に上るとみられる。29年時点で730億2000万米ドルに拡⼤し、世界全体の約10%を占めると予測した。今後5年間は、ソフトウエア、情報サービス、政府、通信、⾦融の各業界がビッグデータ投資を積み増すと分析。これらの合計で投資額全体の約6割を占めるとの⾒⽅を⽰した。
■中国新⾞販売、8月16%増 補助⾦効果で好調維持
中国汽⾞⼯業協会は11⽇、8月の新⾞販売台数(輸出を含む)が前年同月⽐16.4%増の285万7000台だったと発表した。新型⾞への買い替えを補助する政策が需要拡⼤を後押しした。国内で電気⾃動⾞(EV)のほかガソリン⾞も販売が伸びた。EVなどの「新エネルギー⾞」の販売が去年の同じ月と⽐べて26.8%増えたためで、販売台数に占める新エネルギー⾞の割合は、48.8%となりました。また、全体の輸出台数は61万1000台となり、去年の同じ月と⽐べて19.6%増えた。
■TikTokアメリカ事業売却 “合意への枠組み整う” ⽶中貿易協議
アメリカのベッセント財務⻑官は米中の貿易協議のあと、中国系の動画共有アプリ「TikTok」のアメリカ事業の売却について、合意に向けた枠組みが整ったと明らかにした。最終的な合意に向けて、トランプ⼤統領と中国の習近平国家主席が今月19⽇に電話で会談するということである。中国商務省で貿易交渉の代表を務める李成鋼次官は、アメリカとの協議のあと記者会⾒し「双⽅がTikTokと中国側の懸念について、率直かつ深い意⾒交換を⾏い、協⼒的な⽅法で問題を適切に解決し、投資障壁を減らし、関連する経済貿易協⼒を促進することについて基本的な枠組みで⼀致した」と述べた。
■Apple、中国でiPhone Airの発売延期 eSIM規制で調整難航か
米アップルは、中国本土での「iPhone Air」の発売を延期した。規制当局の認可手続きに時間を要しているためとしている。新型iPhoneの予約受付は12⽇に始まったが、同社の中国向けウェブサイトではiPhone Airを注文できない状態となった。代わりに「発売情報は後⽇更新されます。すべてのモデルは認可後に発売されます」とのメッセージが表⽰された。アップルは当初、米国やその他の主要市場と同様に、中国本土でも9月12⽇に予約を開始し、19⽇に販売する予定だとしていた。
2025年9月11日
■中国、EU産豚肉に反ダンピング措置 最大62.4%の保証⾦
中国商務省は5⽇、欧州連合(EU)産の豚⾁とその関連商品が不当に安く輸⼊されたと認定し、反ダンピング(不当廉売)で対抗措置を取ると発表した。その上で、9月10⽇からEU産の豚⾁と関連製品に事実上の関税にあたる保証⾦を⼀時的に上乗せするとし、保証⾦の⽐率は、企業ごとに15.6%から62.4%としている。EUが中国製のEV=電気⾃動⾞に追加関税を課していることへの対抗措置とみられる。
■タイ、プリント基板の製造拠点相次ぐ 中国・台湾勢が進出
AI 需要の急伸を背景に、PCB(プリント基板)のタイ進出が中台勢中心に約60社に達している。アユタヤには中国VGTや台湾GCEが拠点を構える。地政学リスクを分散する「台湾+1」の潮流が追い風ともなっている。EV/サーバー/衛星・ゲーム機向けの⾼付加価値基板が先⾏品目となり、市場規模は2024年の35億ドルから2030年には56億2000万ドルへと、年率7.6%成⻑を予測する試算もある。ただ、AI以外の需要変動、電⼒・⼈材・コストの制約、税制の不確実性が伸びの⾜かせとなる可能性は否定できない。新設⼯場の多くは現在1〜2ラインの段階で、量産最適化とサプライヤーの現地化がボトルネックとなっている。
■中国企業3年ぶり増益 1〜6⽉1%増、東南アジアへの輸出支え
中国の上場企業が業績低迷を脱しつつある。2025年1〜6月期の純利益は前年同期⽐1%増と、同期間として3年ぶりのプラスに転じた。東南アジアなどへの輸出を伸ばした機械や鉄鋼、政府の内需振興策が寄与した家電などが⽀え、⽶関税の影響を補った。内需全体はなお⼒強さを⽋き、本格的な回復には課題が残る。
■アリババ、ボッシュと提携拡大 AI関連技術を中国外でも提供
中国ネット通販最⼤手のアリババ集団は、⾃動⾞部品世界最⼤手の独ボッシュと⼈⼯知能(AI)の活用⽀援で提携すると発表した。両社は2017年にネット通販事業で提携しており、提携対象の事業や地域を拡⼤する。傘下のアリババクラウドを通じ、ボッシュのデジタルトランスフォーメーション(DX)を⽀援する。ボッシュとアリババのこの提携は、運用効率を向上させ、よりスマートなビジネスプロセスを可能にするために、企業業務、家電製品、商用⾞などの幅広い事業ラインをカバーする。
■ファーウェイ、1〜6⽉は純利益32%減 半導体の開発投資増か
中国の⾞載電池最⼤手、寧徳時代新能源科技(CATL)は8⽇、電気⾃動⾞(EV)に搭載するナトリウムイオン電池で中国の新たな安全基準の認証を取得したと発表した。ナトリウム電池はコストが安く低温環境に強い点が特徴で、安全性を訴求し普及を目指す。中国は2026年7月から⾞載電池に関する新たな安全基準を適用する。基準の⾒直しは5年ぶり。新基準では電池の異常から⼀定時間、爆発や⽕災が起きないように求める。中国国内で事業を展開する電池や⾃動⾞メーカーは、この基準に合った電池を開発し⾞に搭載する必要がある。
2025年9月4日
■中国のディスプレー⽣産能⼒シェア、28年に世界75%に
⾹港の市場調査会社、カウンターポイント・リサーチは最新のリポートで、中国のディスプレー生産能⼒の世界シェアについて、2023年の68%から28年には75%に上昇するとの予測を⽰した。この間、年間平均成⻑率4.0%で拡大が続くとみている。同じ期間で台湾は19→16%、韓国は9→8%にシェアが縮小する⾒通しだ。シャープ子会社の堺ディスプレイプロダクトの10世代液晶パネル(LCD)工場と4.5世代有機EL(OLED)、ジャパンディスプレイ(JDI)の鳥取・茂原LCD工場と主要工場の閉鎖が相次いだ⽇本は4→1%に急低下し、業界での存在感がほぼなくなる⾒通しだ。応用先はLCDテレビとIT(情報技術)製品が73%と、28年段階でも引き続き主導的地位を占める。以下、LCDモバイル/IT製品が14%、有機EL(OLED)モバイル/IT製品が7%、有機ELテレビ/IT製品が4%との予測だ。
■中国⺠営企業上位500社、京東・アリババ・恒⼒が安定のTOP3
中国の全国工商聯合会(全国工商聯)は8月28⽇、「2025年中国⺠営企業上位500社ランキング」を発表した。選出対象は2024年の売上高上位500社。統計によれば、⺠営企業の規模と経営効率はともに着実に拡大しているという。上位500社に入る売上高の最低ラインは270億2300万人⺠元(約5551億円)。トップは京東集団で1兆1588億1900人⺠元、2位は阿⾥巴巴集団HDで9817億6700万人⺠元、3位は恒⼒集団で8715億2079万人⺠元と続く。上位構成は例年通りの顔ぶれとなった。位500社の総売上高は43兆500億人⺠元に達した。1社当たりの平均では861億200万人⺠元となり、前年⽐で2.72%増加している。うち売上高が1000億人⺠元超の企業は105社となり、前年より8社増えた。
■北東アジア博覧会が閉幕、来場者数は累計12万人
吉林省⻑春市で開催されていた「第15回中国・北東アジア博覧会」が8月31⽇に閉幕した。8月27⽇に開幕した今大会には、5⽇間で45カ国・地域から計2万733人の来賓が参加。会場となった⻑春・北東アジア国際博覧センターには、現代産業館、開放協⼒館、新消費・新サービス館、国際・港澳台(⾹港・マカオ・台湾)商品館の4つのテーマ館に加え、人参・梅花⿅の特設展⽰区や吉林料理文化体験区など特⾊ある展⽰が設けらた。計34件の主要・テーマ・連携イベントが開催され、環境、観光農業、教育分野での協⼒強化が図られた。
■BYD、主⼒EVセダン20万円値引き モデル刷新に合わせ
中国の⾃動⾞大手、⽐亜迪(BYD)は29⽇、主⼒の電気⾃動⾞(EV)セダン「秦L」の価格を1万元(約20万円)値引きすると発表した。モデル刷新に合わせて価格を下げ、販売拡大を目指す。BYDは国内販売が苦戦しており、てこ入れする狙いもある。
■ファーウェイ、1〜6⽉は純利益32%減 半導体の開発投資増か
中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)は29⽇、2025年1〜6月期の純利益が370億元(約7600億円)と前年同期⽐32%減だったと発表した。半期ベースでの減益は2期連続。売上高は4%増の4270億元だった。増収は半期ベースで6期連続。研究開発費の増加が主因で、米中のハイテク覇権争いに伴い半導体への支出を積み増しているとみられる。