今週のトピックス(2025年7月)
2025年7月10日
■中国、現⾦200万円超の取引に報告義務 貴⾦属・宝⽯業者が対象
中央銀⾏である中国⼈⺠銀⾏はこのほど、「貴⾦属および宝⽯取扱機関向け反マネーロンダリング及びテロ資⾦供与防止管理⽅法」を発表した。同管理⽅法によれば、取り扱い機関は現⾦による10万元(約200万円)以上の取引、もしくは同額の外貨現⾦取引を⾏った場合、反マネーロンダリングの義務を履⾏しなければいけない。
■中国初の洋上浮体式PV、⼭東⻘島で7.5MW稼働
中国初の洋上浮体式太陽光発電(PV)施設が山東省⻘島市沖でこのほど稼動開始した。中国⽯油化⼯傘下の⻘島煉油化⼯有限責任公司が設置し、先⾏稼働した着床式のPV施設と連動し、中国⽯化として最大規模の⽔⾯PV事業となる。プロジェクト全体で年間1670万kWhのグリーン電⼒を生み出し、二酸化炭素1万4000トン(樹木75万本相当)の排出を削減する。⾯積6万平⽅メートルに合計7.5MW(7500kW)相当を設置した。潮汐に追随して上下するフロート設計を採用し、発電モジュールと⽔⾯の距離を縮めたことで、海⽔の冷却効果で発電効率は5〜8%向上する。
■米政府、半導体設計ソフトで対中規制撤回 シノプシスなど提供再開へ
米政府が5月に導入した半導体の設計ソフトの対中輸出規制を撤回することが2⽇明らかになった。設計ソフトの主要企業である米シノプシスや米ケイデンス・デザイン・システムズなどが米商務省から規制解除の通知を受け取った。関税交渉を巡る米中政府間の緊張が緩和し始めた。シノプシスは2⽇に「最近規制対象になった中国向け製品の再提供に向けて取り組んでいる」と表明した。
■1000kW充電体験︕BYD常州⼯場が描く中国EV覇者の強さ
中国EV最大⼿BYDは、2025年4月の上海モーターショーに合わせ、江蘇省常州市の⾃社⼯場を⽇本メディア向けに公開した。常州⼯場は2022年稼働で年産40万台、主要⾞種はもちろん、⽇本向け右ハンドル⾞も生産。⼯場内は⾃動化が進み、溶接⼯程の95%がロボット化される一⽅、バッテリーや内装の組付けなど重要部分は⼈が担当する。全体で1万⼈が働き、「窓とタイヤ以外は全部内製」という徹底ぶりが特徴だ。ディーラー⾒学では、出⼒1000kW級の超急速充電も体験。⽇本で主流の90〜120kWを大きく上回り、「5分で400km分充電」という驚異的なスピードを実感できたという。BYDは新EVプラットフォームや独⾃電池技術で、技術⼒と多⾞種展開を武器に世界EV市場でトップを⾛る。2026年には⽇本市場専用の軽BEVも予定しており、今後ますます⽇本の街中でもBYD⾞を⾒る機会が増えそうだ。
■アリババ、社債発⾏で2200億円調達へ クラウド・通販に投資
中国ネット通販最大⼿のアリババ集団は3⽇、他社株転換社債(EB債)を発⾏して120億香港ドル(約2200億円)を調達する計画を発表した。調達した資⾦はクラウドとネット通販事業への投資に充てる。今回発⾏するEB債は2032 年に満期を迎える。傘下企業で医療関連事業を⼿がける阿⾥健康信息技術(アリババ・ヘルス)の株式に転換する。
■テスラ世界販売13%減 4〜6⽉、不買運動響き2四半期連続2ケタ減
米電気⾃動⾞(EV)大⼿のテスラが2⽇発表した2025年4〜6月期の世界販売台数は前年同期と⽐べ13%減り、38万4122台だった。2四半期連続で2ケタ減となった。イーロン・マスク最⾼経営責任者(CEO)の政治的な発⾔への反発から続く不買運動に加え、中国企業が価格や質の⾯でも台頭し競争が厳しくなっている。
2025年7月2日
■中国、フェンタニル原料を規制対象に追加 米中交渉で懸案
中国政府は6月26日までに、合成⿇薬「フェンタニル」の原料2種類を化学品の規制対象に加えた。トランプ⽶大統領は2月、フェンタニルの原料となる化学物質の流⼊を中国が抑制できていないとして、中国からの輸⼊品に20%の関税を課した。など⽶中交渉の懸案となっており、中国側が⽶側の要求に応じた可能性もある。
■中国の国内便、安全認証ない充電器持ち込み禁⽌ Ankerなど回収で
中国⺠用航空局は26日、安全認証マークがないなどの充電器の国内便機内への持ち込みを28日から禁止すると発表した。中国では6月に⼊り、国内大手の安克創新科技(アンカー・イノベーションズ)などのリコール(回収・無償修理)が相次いでおり、安全対策を講じる。禁止されるのは、国家基準である安全認証「3C」のマークがなかったり、はっきり記載されていなかったりするスマホなどの充電器。
■中国が日本産水産物の輸入再開、29日に即日実施、10都県は除外
中国政府は29日、東京電⼒福島第1原⼦⼒発電所の処理⽔放出を受けて停止していた日本産⽔産物の輸⼊について同日付での即時再開を発表した。対象は37道府県の⽔産物で、福島や東京など10都県は含まない。⽔産物を中国へ輸出する日本側企業は、中国の「輸⼊⾷品海外製造企業登録管理規定」などの関連規定に準ずることとし、輸出を一時停止していた日本の⽔産物メーカーは中国での再登録を⾏う必要があるとしている。また、日本産⽔産物の輸出を申告する際、日本の公的機関が発。⾏した衛⽣証明書、放射性物質検査合格証明、産地証明を提出しなければならないとしている。
■中国・凱瑞医療、AIで採血や注射スムーズ 専用ロボ開発
採⾎ロボットの開発を手がける中国スタートアップ「凱瑞医療科技(Kairui Medical Technology)」がこのほど、プレシリーズAで瀘州市双港実業から数千万元(数億円)を調達した。調達した資⾦は、製品開発の加速や技術⾰新、⼈材採用、⽣産ラインの建設、CEマーキングの手続きに充てるという。同社は採⾎ロボット以外にも、⾃動超音波検査ロボットや3D超音波診断ロボットの開発にも取り組んでおり、包括的な医療⾃動化ソリューションの提供を目指している。
■小米、EVに独自半導体を搭載へ スマホに続き自社開発品を拡⼤
中国スマートフォン大手の小⽶(シャオミ)は、独⾃設計・開発の半導体を電気⾃動⾞(EV)に搭載する計画を発表した。これまで⾞載用半導体は⽶クアルコムやNVIDIAに依存してきたが、今後はスマートコックピットや運転支援機能などの中核部分を⾃社製チップで担う方針だ。2025年5月には、3 ナノメートルプロセスの新型チップ「Xring O1」を発表し、すでにスマートフォンやタブレットにも展開済みで、次世代EV『YU7』や『SU7 Ultra』といった⾞載モデルにも同チップを応用する。4つの電⼦制御ユニットを統合した⾼効率な制御システムを採用。工業情報化部(MIIT)主導の⾃動⾞産業政策の下、他の中国大手メーカーも⾞載半導体開発を強化しており、技術⾃⽴と競争⼒強化が加速している。