中国のデジタル免許証の状況について
- 先日、地元の警察署に⾃動⾞運転免許証の更新に⾏ったところ、更新料は現⾦では受け付けておらず、各種電子マネーのみで驚きました。また、免許証も2年後にはマイナンバーカードに統合されると公表していました。デジタル化は日本より中国の方が進んでいる気がしますが、中国では⾃動⾞免許証はどうなっているのでしょうか︖
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日本では、今年(2024 年)12 月 2 日以降、現⾏の健康保険証は発⾏されなくなり、健康保険証の利⽤登録がされたマイナンバーカードを基本とすることになりました。そして、ご指摘のように運転免許証もマイナンバーカードと運転免許証及び運転経歴証明書の一体化が来年 3 月 24 日から開始されます。免許情報の記録されたマイナンバーカード(マイナ免許証)を所有することが始まり、保険証と同じようにマイナンバーカードに統合していき、いずれは免許証もなくなる、つまり中国と同じになっていくはずです。日本政府は公には言いませんが、明らかにデジタル化は中国を先⾏指標としており、中国で起きていることをみれば、日本がこれからどういうデジタル化が進んでいくのかがわかります。中国のデジタル免許証の状況は以下の通りです。
中国では、スマホアプリとの連携が進んでいます。デジタル運転免許証は、スマホアプリ「交管 12123」や各地の⾏政アプリで取得可能です。このアプリは交通管理のために設計され、免許証情報や⾞両登録情報、交通違反の記録などを確認することができます。
また、公式な証明書として使⽤が可能で、デジタル免許証は、物理的な免許証と同じ効⼒を持ちます。交通検問やレンタカー利⽤時にスマートフォンで提⽰することができます。デジタル免許証には QR コードが含まれており、警察や認可された機関がそのコードをスキャンすることで情報を即座に確認できます。この免許証のデジタル化により、利便性が著しく向上しました。物理的な免許証を持ち歩く必要がなくなる、紛失や盗難のリスクが軽減する、交通違反や免許更新の通知をアプリで受け取れる…等々、メリットは図り知れないほどだと思います。
このデジタル化の普及状況を⾒てみると、次のような展開でした。
2021 年から、中国の一部の都市(北京、上海、広州、杭州など)で試験的にデジタル免許証が導⼊され、その後、徐々に全国に拡大しています。デジタル免許証の利⽤は急速に拡大していますが、特に都市部での普及率が高い一方で、地方では従来の免許証を使うケースもまだ多いといいます。デジタル免許証のメリットとしては、免許証の確認や更新がオンラインで簡単に⾏えること。また、紛失・破損の心配がないこと。データはオンラインで⾃動バックアップされ、アクセスが容易であることが挙げられます。
一方で、課題と指摘されているのが、高齢者やデジタル技術に不慣れな⼈々にとっては利⽤が難しいことや、スマートフォンの電池切れやネットワーク接続が必要な場⾯での不便さなどです。また、サイバーセキュリティや個⼈情報の保護に対する懸念も存在しています。いずにしても中国では、⾏政のデジタル化が進んでおり、運転免許証だけでなく ID カードや医療保険証など、他の証明書のデジタル化も進⾏中です。警察の免許更新料のキャッシュレス化は、その流れの一環ではありますが、そのおかげで現⾦を数える手間をかける必要がなくなり、それが税⾦の節約に繋がると言われれば、納得せざるを得ません。中には、「キャッシュレス決済ができない高齢者は、⾃動⾞を運転する資格がないということか」と憤る高齢者もいますが、あながち的外れではないかもしれません。⾃動⾞の構造⾃体もデジタルが進んでいるからです。日本も⾏政が本気で動きだせが、デジタル化、キャッシュ化は思ったより早く進むかもしれません。
以上