中国への食品輸出に必要な手続きについて

中国の食品バイヤーと商談が順調に進み、今年から当社の製品を出荷することになりました。しかし、食品企業が中国に輸出する場合、今年から企業登録が必要だと聞きました。また、その他に必要な手続きもいっしょに教えてください。

 これまでもこのコーナーでは、食品の輸出に関する手続きについて解説してきましたが、昨年から今年かけて変化が大きく、手続きが煩雑となり、日本政府も苦慮しているようです。そこで、解説が少し⾧くなりますが、2022 年 2 月の現時点における必要な手続きを整理してみます。

Ⅰ.加工食品に関する企業登録制について
中国政府は 2021 年 4 月 12 日に、輸入される食品の製造等を行った企業の登録を求める「輸入食品海外製造企業登録管理規定」(税関総署令第 248 号)(以下、「新規定」という。)を公布した。施行は2022 年 1 月 1 日。新規定では、以下の内容を求めている。
  1)特定の品目について、製造等を行った企業を日本政府が中国政府に登録すること。
   ➡申請は、「農林水産省共通申請サービス(eMAFF)」を利用
  2)その他の品目については、企業自らが中国当局へ登録すること。
   管轄は日本の農林水産省となり、各地方の窓口を通じて、日本企業に対応している。
   ➡申請は、「国際貿易シングルウィンドウ」を利用
 新規定の概要は、以下の通りです。
参照:中国向け輸出食品の製造等企業登録に係る農林水産省における登録申請受付等について
   https://www.maff.go.jp/j/shokusan/export/kigyoutouroku2.html
 ≪問い合わせ先≫
   農林水産省 輸出・国際局輸出支援課/国際地域課

1.対象となる企業
中国国内向けに食品を輸出する製造、加工、貯蔵企業(食品添加物、食品関連製品の製造、加工、貯蔵企業は除く)

2.日本政府による中国政府への企業登録が求められている品目(カッコ内は中国語原文)
(ア)肉及び肉製品(肉与肉制品)、(イ)ケーシング(肠衣)、(ウ)水産物(水产品)、(エ)乳製品(乳品)、(オ)ツバメの巣及びツバメの巣製品(燕窝与燕窝制品)、(カ)ミツバチ製品(蜂产品)、(キ)卵及び卵製品(蛋与蛋制品)、(ク)食用油脂及び搾油原料(食用油脂和油料)、(ケ)餡入り小麦粉製品(包馅面食)、(コ)食用穀類(食用谷物)、(サ)穀類製粉工業製品及び麦芽(谷物制粉工産業品和麦芽)、 (シ)生鮮及び乾燥野菜並びに乾燥豆類(保鲜和脱水蔬菜以及干豆)、(ス)調味料(调味料)、(セ)堅果及び種子類(坚果与籽类)、(ソ)ドライフルーツ(干果)、(タ)未焙煎の珈琲豆及びカカオ豆(未烘焙的咖啡豆与可可豆)、(チ)特別用途食品(特殊膳食食品)、(ツ)保健食品(保健食品)。
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/export/attach/pdf/kigyoutouroku2-17.pdf

3.企業自ら中国政府に登録が求められる取扱品目
  上記(2)以外の食品

4.具体的な申請方法等
1)上記「2の日本政府による中国政府への企業登録が求められる品目」の場合は、農林水産省共通
 申請サービス(eMAFF:イーマフ)を利用して申請する。
 https://www.maff.go.jp/j/kanbo/dx/emaff.html
 なお、食品製造等企業が準備するものは、以下の通り。
(1)中国政府への登録に必要な要件を確認するための資料
  ①食品衛生法に基づく営業許可証または営業届出を行ったことを示す書類
  ②条例に基づく営業許可証又は届出書の写し(有効なものに限る)
  ③食品衛生監視票(直近の監視の際に交付された食品衛生監視票に限る)
(2)農林水産省共通申請サービス(eMAFF)からの申請に必要なアカウントの作成
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/hq/i-4/china_info.html

2)「3.の企業自ら中国政府に登録が求められる取扱品目の場合」は、国際貿易シングルウィンドウ(www.singlewindow.cn)の「輸入食品海外製造企業登録管理応用」ページから登録を行う。

≪問い合わせ先≫
  農林水産省 輸出・国際局輸出支援課/国際地域課
  代表:03-3502-8111(内線 4310(国内対応関係)/3424(国際交渉関係))
  ダイヤルイン:03-3501-4079/03-3502-5866

5.水産加工品について(施設認定及び衛生証明書)
  以下の手続きを経て、施設認定を取得後、衛生証明書を取得すれば、自動的に上記の「Ⅰ.加工食品に関する企業登録制」の企業登録が完了する。

〇中国向け輸出水産食品取扱施設の認定等について
  令和 2 年 4 月 1 日「農林水産物及び食品の輸出の促進に関する法律」の施行に伴い、中華人民共和国向け輸出水産食品の取扱要綱が改訂された。
 ➡要綱 中華人民共和国向け輸出水産食品の取扱要綱(以下、取扱要項と略す)
  https://www.maff.go.jp/j/shokusan/hq/i-4/attach/pdf/yusyutu_shinsei_asia-415.pdf

〇中国海関総署ホームページの輸出水産食品取扱施設リストについて
 https://www.maff.go.jp/j/shokusan/hq/i-4/china_info.html
〇施設認定の手続きは、取扱要綱の 3 ページ「6.施設の認定等に係る手続」をご覧ください。

〇合わせて、こちらもご確認ください。「中国政府の要請に基づく輸出水産食品認定施設に係る衛
生要件の点検等の実施について」 (令和 3 年 2 月 15 日掲載、3 月 15 日更新)
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/hq/i-4/china_info_210215.html
〇証明書発行の手続きは、取扱要綱の 7 ページ「10.衛生証明書の発行手続」をご覧ください。

※参照サイト
〇中国向け輸出食品の製造等企業登録に係る規制への対応について
 https://www.maff.go.jp/j/shokusan/hq/kigyoutouroku.html
〇新規定「輸入食品海外製造企業登録管理規定」(税関総署令第 248 号)(JETRO 仮訳)
 https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/asia/cn/foods/pdf/sanitation_023.pdf

Ⅱ.放射性物質検査証明書
・食品等に関する放射性物質検査証明書等の発行要綱

 https://www.maff.go.jp/j/shokusan/hq/i-4/attach/pdf/yusyutu_shinsei_sonota-67.pdf
・衛生証明書発行手続きの流れについて(施設登録が済んでいることが条件)
 https://www.jffic.or.jp/wp-content/uploads/2012/12/20100106_cn_exp_1st.pdf

Ⅲ.産地証明書(中国語:原産地証明書)
中国が要求しているのは、日本政府が発行する“産地証明書”です。各地方の商工会議所が発行している
“原産地証明書”ではありません。


 この“産地証明書”は、中国(中国語)では「原産地証明書」といいます。そのため、日本の“原産地証明書”と勘違いしやすく、混乱が生じやすい。
 中国は、原発事故に伴う輸入規制として、新潟米を除き 10 都県(福島、宮城、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、⾧野、新潟)の全ての食品及び飼料は輸入禁止としています。そして、10都県以外についても、加工食品は日本の政府機関(農林水産省管轄の農政局等)が発行する産地証明書を求めています。
(中国の輸入規制の概要:https://www.maff.go.jp/j/export/e_shoumei/pdf/sum_ch.pdf
〇農林水産省 輸出証明書≪申請方法≫のインターネット申請手続き
 https://www.maff.go.jp/j/export/e_shoumei/shoumei_system.html
 ・「輸出証明書」発給システム操作マニュアル(中国 産地証明)
 https://www.maff.go.jp/j/export/e_shoumei/attach/pdf/shoumei_system-107.pdf

≪問い合わせ先≫
〇農水省及び各地方農政局の連絡先
 https://www.maff.go.jp/j/export/e_shoumei/attach/pdf/shoumei_system-11.pdf
※(日本の)原産地証明書についての補足説明:
中国への輸出とは関係ありませんが、商工会議所で発行される(日本の)原産地証明書についても補足しておきます。(台湾への輸出では、こちらを要求されます)
原産地証明書とは「貿易取引される商品の国籍を証明する書類」のことです。原産地証明書が求められるのは、①輸入国の法律・規則に基づき輸入通関の際に必要とされている、②契約書、信用状の指示で必要とされているーーといった理由によるものです。

参照:中国向け輸出水産食品の衛生証明書の申請手続きについて
   https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/tohoku/shokuhin/suisan-china.html

 

以上