その29.日本人には、「si」より「su」が難しい
―― zi 、ci 、si の「i」も無用の長物
「とっておきの子音表」の第3点、
z、 c(赤) 、s
ですが、これは2番目の zh(赤)、ch(赤)、sh(赤)、r(赤)と同じ理由です。
「i」があるとどうしても口を横に開いてしまいます。
そうすると、ji、qi(赤)、xiとほとんど区別がつかなくなってしまうのです。
この点さえ押さえれば、これらの発音は全然難しくありません。
むしろ、問題は、「su」の方にあると言って良いでしょう。
「u」と口を尖らすことがどうも不得手だからです。
「キス」をする時のように口を尖らせてなどと教えても、「分かりません」とか「出来ません」という答えが返って来ます。そこで、研究心からテレビドラマをつぶさに見て見ると、確かにキスは必ずしも口を尖らせてやってません。どちらかと言えば、唇の形は「mo」を発音する時の形に近いですね。(テレビドラマなど見なくとも、自分でやってみたら良いのですが、こういうことは相手がいないと「雲を掴むような」ことになってしまいますので・・・)
どうやら、この教え方はまずいようです。
何か良い教え方はないでしょうか?
「タコのような口をして」とか、「自分の手の指を唇でくわえる感じで」とかの
方が分かりやすいでしょうか?
改良の余地有り。研究の余地大いにありです。
さー、これで、「四声」「母音」「子音」の基本の説明は全て終わりました。けれども、これで発音の基礎が身に付いたと考えるのは早計に過ぎます。発音の仕組みが分かっただけでは、まだまだ道半ばというべきでしょう。
発音の勉強の目的は、ひとえに体に発音を覚えさせることにあります。ちょっと大げさに言えば、体全体の筋肉、関節、血管、神経系統に最適の発音をするための「動作」を教え込むことにあります。
『これ以上解り易く出来ない!中国語』p。26をテープで何度も聞いていただくことの意味もここにあります。先ずは耳に同じ音を繰り返し聞かせ、耳に慣らさせるということは、それに続く、体中の筋肉、関節、血管、神経系統などを同時に働かせて行う「音を発する」という行為のための準備運動と言えます。
そして、この準備運動は、しっかりやればやるだけ、体全体を有機的に動かすことが自然に無意識にできるようになります。
以上より、p。26の練習は、「中国語の耳」のダウンロードの「仕上げ」であり、なお且つ、それに続く、「中国語の口」のダウンロードの出発点とも言えるものです。
その意味において、このテキストのp。26は、一つのステップから次のステップへと飛躍するための非常に重要な「踊り場」なのです。
(続く…)
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