その27.「プンプン」は「憤憤(fenfen)」から
来たのではないか?
−−「fo」が赤字でなくなったのは、日本の英語教育の成果
「とっておきの子音表」の3つの特色の第1.は、
「fo」が赤字ではなくなった
ということです。
なぜかと言えば、現代に生きる日本人であれば、この発音はほとんどの人が出来ますし、聞き取ることも出来るからです。ことさら時間をかけて習う必要もないからです。
では、昔の日本人はどうだったのでしょうか?
万葉集が作られた時代、またはそれ以前はいざ知らず、日本人はどうやらこの音を自国語に取り入れることが出来ずにいたようです。具体例を挙げてみますと、
「興奮(xing fen)」は「kou
hun」
「発奮(fa fen)」は「ha pun」
「部分(bu fen)」は「bu bun」
「憤慨(fen gai)」は「hun gai」
(但しここでは昔の中国語にも、「f」または「fに近い音」が存在したことを前提にしています。)
自分達が発音できる音に変えてしまっています。
大昔中国に留学した日本人は、もしかしたら、この音をどうするかで大分頭を悩ませたかも知れませんよ。「hun」にすべきか、「pun」にすべきか、あるいは、「bun」にすべきかと。
ところで、ここに興味深い事実があります。
それは、「プンプン怒る」の「プンプン」は、漢語の「憤憤」から来たのではないかということです。最近、私はとみに「この音は、漢語系ではないのかな?」と感ずることが多くなっています。これも、かなり前から、耳について仕方ない音でした。中国語の「憤憤不平」等という成語に出会うと、ますますその感が強まります。皆様、いかがでしょう?
ついでに言いますと、私が漢語的な響きを感じるのは、次の言葉です。
トンチンカン
チンプンカンプン
アンポンタン
ほうとう
ウイロウ
スカンピン
スットンキョウ
スッピン
チョウタボウ 等等
現代日本人が何故「f」の発音が出来るようになったかといえば、それは恐らく日本の英語教育が貢献しているに違いありません。あれだけの時間を英語の勉強に費やしているのですから、それ位の効果はあって当然過ぎると言えば当然とも言えますが……。
で、日本人はどの位この音を自分のものとしているかと言えば、この位です。
ワープロで「興奮」を入力する場合、
「kou hun」と入れても、「kou fun」と入れても
どちらでも良い。
この現象から将来を予測すると、英語教育・中国語教育の影響を受けて、将来少なからぬ日本人が、
「興奮」を口でも「kou fun」と発音するように
ならないとも言い切れない気がします。
いかがでしょう?
(続く…)
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