その22.着実に効果を上げている日本の英語教育
−−中国語の曖昧母音は、易しい
e(赤)
は、どう発音するか?
『 bird first heard upon
の 曖昧母音です 』
といえば、誰でも出来ます。
それでもだめなら、
『日本語の耳には、「う」とも「え」とも「お」とも聞こえる音』といえば、ほぼ誰でも出来ます。
事実、多くの台湾人の発音は「お」に近く聞こえます。
彼等の
可以 ke(2) yi(3) (もともとは、(3)(3);OK
という意味)
は、日本語の耳には、「コーイ」と聞こえます。
でも、彼らが発音すれば一発で通じます。
要は、音が或る一定の範囲内に入っていれば良いのです。
ということは、そんなに神経を使わなくとも出来るのです。
『日本語の特質』(NHKブックス)で金田一春彦は、こう述べています。
「…日本語はイタリア語などよりもっときれいな言語だとも言えはしないかと思われます。
というのは、ここに大西雅雄博士というかたが以前、世界の諸言語について、
どういう母音を多く使うかという統計を出されました。・・・
これによりますと、日本語は a・o・i・e・u
の順序になっている。きれいな母音が上に来ている。英語などはむしろ曖昧母音というような、つぶやきの母音が多くて、i
の一種がその次です。」(p。63、曖昧母音の部分は原文では発音記号)
この文章が我々に示唆していることは実に意味深いものがあります。
◇日本語の耳では、もともとこの種の音、e(赤)が聞き分けられない。
◇日本人は、しかし、今や英語教育を通して、この曖昧母音を身に付けることが出来た。
◇英語を学ぶには、曖昧母音をきちんと学ばなければいけない。
そして、ここから先は、私の見解ですが、
◇日本人に比べて、中国人がどちらかというと英語の発音に抵抗感がない原因の一つに中国語においてもこの曖昧母音が幅を利かせているからではないか?
◇日本語が曖昧母音をもともと持っていなかったのか、或いは徐々に失って来たのかは検証を要する問題であるが、今、日本語にも曖昧母音の影響が及んで来ており、若い人などは抵抗なく、そういった発音を会話に挟み込んで来ている。
これを裏返すと、日本語の「音の美しさ」が失われて来ているともいえる。
それで、「声に出して読みたい日本語」などという本がよく売れる。
(続く…)
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