その2.「筆談で何とかなるさ」は命取り(1)
前回の答えを申し上げましょう。
どちらも正解です。(スローガン風に訳してみました)
正解1."油断一秒,怪我一生。"
(ちょっとでも 油が切れるようなことになったなら 徹頭徹尾わたしのせい!)
正解2."粗心一秒,残疾一生。"
(ほんの僅かの不注意が 招くよ あなたの身の破滅!)
いかがですか?
なんと二通りの全く意味の異なる文章に訳出出来てしまうのです。もし、これを日本語から英語やスペイン語に訳したとしたら、こういうことは起こり得ません。ということは、漢字を共に使用する日本語と中国語に特有の現象と言って差支えないでしょう。
実は、これは知る人ぞ知る、かなり古典的な部類に属するものです。その例に漏れずこの文章を引用している『中国スラングおもしろ百科』(丁秀山、東山書店)に、もっと強烈なのが紹介されています。こういう内容です。
日本の軍隊が中国の農村へ「卵」の徴発に出掛けたが、中国語が分からないので、筆談で用を足そうと、
「我欲食卵 大卵二十持来」
と書いて見せたところ、大騒ぎになった。やがて、村の長老が、おそるおそる、
「此村無大卵子」
と書いた紙を持って来た。日本兵は、別に大きくなくても良いと思い、
「小卵持来」
と書いたところ、またまた大騒ぎになってしまった。
いかがでしょう?
上記の会話を日本人と中国人の解釈をあえて日本語にして並べてみましょう。
「卵が欲しい。二十個程。」 「へのこが食べたい。二十個ほど。」
「この村に大きい卵はありません。」 「この村に大きいへのこはありません。」
「じゃー、小さい卵をくれ。」 「じゃー、小ぶりのへのこでいいよ。」
現在でもこのような筆談が行なわれる可能性があります。
若い日本女性が中国女性に向って、
日本女性:私、卵、好。貴女?
中国女性:??!!!
かくいう私も実際何度も、全身から汗が噴出すような恥ずかしい思いをしたことがあります。
台湾の語学学校で、女性の教師に向って、
私 :老師的毛,好看! (先生の体毛、つやつやしてますね!)
先生:nnng??!!! Oh,我的"頭髪"! (エーッ何、何て言ったの?あー、髪の毛ね。)
こんなのはどうですか?
「月極格安」
四文字の熟語?詩の一節?標語?CM?
中国人はどう解釈するでしょうか?
(・・・続く)
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