その3.「筆談で何とかなるさ」は命取り(2)
「月極格安」を中国語で発音してみると滑らかですし、字面も悪くないので、恐らく多くの中国人は、一定の格調を備えた文章の一部だと見なすに違いありません。
こんな具合にです。
"月満格外安静"(月が満ち、あたりは静寂そのもの)
"晧月当空,格外安静"(空には明月、地上はひっそりと静まり返っている)等等
これをスパッと、
"(停車費)按月算,非常便宜"(<駐車料>は月ぎめで、とってもお安いですよ)
と見抜いた人は既に日本語の達人の域に達していると言えるでしょう。そういう方は中国での日本語の普及にご尽力いただきたいと切に思います。
それはともかく、日本語と中国語の間ならではの大誤解(大錯特錯)がここに生まれてしまっています。
中には、「牽強付会(強詞奪理)だよ!特殊な例をあげて、全体を極めつける(以偏概全)暴挙だよ!」との思いを持たれた方もおられるに違いありません。実は、私も長いこと中国語と日本語は「同文」だと思い込んでいましたので、少し前でしたら、大学教授でもない、言語学者でもない人間にこのようなことを言われたら、どちらかというと権威主義には縁遠く、むしろ世の中の権威一般に反抗的な私でも「ド素人が何抜かしてけつかる!」との反感を覚えたに違いありません。
ところが、調べて行けば行く程、上記のような例が例外的なものでないことが分かって来るのです。大変残念なことでありますが、仕方ないのです。
次のような例がそれをいみじくも示しています。
日本人と中国人の筆談において、
日本人A: 徒歩何分?
中国人C: 走路10分鐘。
日本人の解釈
中国人の解釈
日本人A: 歩いて何分ですか? 歩いて何分ですか?
中国人C: 走って10分です。 歩いて10分です。
また、こんなのもあります。
日本人D: 請、見!
中国人F: 看不見。
(・・・続く)
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