その14.『四声の耳』のダウンロード中のカラオケは
「百害あって一利無し」
−なぜ「田中式ピンイン表記法」なのか?
「田中式ピンイン表記法」は、日本人が『中国語の耳』をダウンロードするためのツールです。
実は、その内容はいたって簡単です。
大きく分けて二つあります。というか、二つしかないのです。
一つは、「四声の耳」
もう一つは、「日本語にない音の耳」 です。
先ず、「四声」ですが、日本人には全くと言って良い程になじみのないもので、ゼロから覚えなければなりませんし、まさに「身に付ける」=「体で覚える」ようにしなければマスターできないものです。
近代中国で標準語を何にするか色々と議論され、最終的に「北京語」を標準語にすることに落ち着いたのですが、このことは日本人にとって幸いなのか、災いなのか、ということを考えられたことがおありでしょうか?
私は、「四声」に関しては「幸いだった」と考えます。なぜなら北京語の声調が最も少ないからです。「但し、四声に関しては」と但し書きが付きます。では、「何が災いか?」と問われれば、「日本語にない音が増えてしまった」からです。
ないものねだりになりますが、「四声」+「福建語」が標準中国語になっていたら、我々日本人にとって中国語はずっと身近なものになっていたに違いありません。
例えば、「電気」
北京語 「dian qi」で、「qi」の音は日本語にはありません。
福建語 「den ki」です。
などと、愚痴を言っていても始まらないので、気を入れ替えて先ずは「四声」をやっつけてしまいましょう。
ところで、前に「中国語にとって発音は極めて重要」と申し上げましたが、「四声も中国語の命」です。決して甘く見てはいけないのです。
中国語のカラオケを発音学習の手段と取り違え、カラオケで中国語を覚えるのだと思い込んでおられる方がおられるようですが、残念ながら、それは本末転倒(本末倒置)です。英語や日本語であれば、発音学習の手段となり得るでしょうが、中国語の場合は、「四声」
があるため、発音の基礎を学ぶ段階では、同じようなやり方をそっくりまねる(生搬硬套)訳にはいかないのです。
『四声の耳』のダウンロード中には、中国語のカラオケは絶対に控えるべきです。
例をあげましょう、
「ニー ハオ」は「ni(2) hao(3)」です。
これが歌になると、「ni(1)hao(1)」「ni(1)hao(2)」「ni(1) hao(3)」「ni(1)
hao(4)」……………………となってしまうのです。これではせっかく教室で声を張り上げて覚えた「四声」が滅茶苦茶になってしまいます。
ここまで読んで来られた人の中には「あんたこそ滅茶苦茶なことを言うな!カラオケで俺は上手くなっていると周りの中国人に誉めそやされているんだゾ」という方が必ずやおられるに違いありません。
そういう方に対しては次のように申し上げたいと思います。
「中国人は中国語の日常会話が出来て当たり前で、カラオケはその次に来るものです。
ですから、カラオケが出来る日本人を見て、中国人は、まさかその日本人が中国語の日常会話すら出来ないとは思わないでしょう。
もし、歌を歌い終わってから、席に戻る途中で知らない中国人から『あんた、中国語上手いね』などと話しかけられ、しどろもどろになるようでしたら、馬脚をあらわしてしまうでしょう。もちろん、逆にちゃんと受け答えができれば心から尊敬されるでしょう。
楽しみながら学びたいという気持ちはわかりますが、先ずはあせらずに『四声の耳』をしっかりインストールしてから中国語カラオケに取り組むべきです。中国語カラオケはあくまで手段ではなく、目標とすべきものです。」
どうしても楽しみながらでなければいやだ、という方には、「字幕付きテレビ」とか「漢詩朗読」を見たり聞いたりされることをお勧めします。
こちらは、「利多無害」です。
(続く…)
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