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第19回 中国における投資契約の調印(3)

 中国における投資契約はどこのお役所に契約認可を申請すればよいのでしょうか?…単純そうに見えて極めて複雑なのが、この問題です。要は中国政府内部で利権が複雑に絡み合っていますから、事業規模が大きく、技術水準が高くなるほど、つまり儲けが大きくなるほど、この「管轄問題」は不透明な世界に入っていきます。
 投資産業指導リストというリストの中では制限乙種(国務院、国家計画委員会で審査)などと決まっていますが、ただ、管理部門というものは、最初にそこと決まれば最後まで変わらないのが官僚主義の利権構造ですから、入り口で変なところを選んでしまうと、末代まで悔いを残すことになります。また人物本位で選んでも、本人が交替になったり、失脚することもありますので賢明ではありません。結論としては、密室ではなく公開されている場とすること、法の力が間違いなく届くところ、ということになるでしょうか。また、複数で重複してはいけません。さらに自分自身で権限を持っているところに限られます。たとえば権限は強くても、軍や公安といった「治外法権」の場は避けたほうが無難でしょうし、古くからの地方政府官僚(郷鎮政府)もかなり頭が固いうえに利権の世界です。国務院直轄の工業団地管理委員会か、単列市の対外経済貿易委員会あたりが一番妥当かと思われます。この範疇に収まる事業規模でスタートするというのもひとつの重要な戦略です。

 つぎに契約内容チェックのポイントについて、これは数行で済む内容ではありませんが、誤解を恐れずにポイントのみを述べます。

@実施する事業のビジョン、具体的な目的、内容が描かれているか。
A事業実施に必要なインフラ整備等の事業実施を保証する条件が具体的に明記されているか。
B利益回収の方法が明記されているか、それがどう保証されているか。
C董事会における中国側の権限行使拒否への対応、会計監査や棚卸、報告言語など経営リスク回避のための監督権限が保証されているか。
D訴えられた側所在国での仲裁など、平等な内容になっているか。
E譲渡、中止するときの基準、手順が具体的に明記されているか。
F当社の負いうる損失はいくらまでか、それが契約上に明記されているか。たとえば逸失利益に対する賠償など含まれていないか。無限責任となっていないか。
G契約期間が事業内容に照らして適切か。

 最後に調印の方法ですが、調印日を最初に決めないこと。訪中したときに、「その日に調印」などと言われたら明確に断ること。交渉と議論を尽くして、合意した結果が契約調印です。調印日が決まったら、日中共同で契約書そのものを作成すること。簡単なホッチキスどめなどはせず、きちんと契約書として製本し、準備を事前に整えること。ドタン場での変更や差し替えには応じないこと。調印は訪中するよりも、日本へ招聘すること、あるいは香港やシンガポールなど第三国で執り行うこと。特に香港マカオであれば印紙代が不要になります。

  (・・・続く

…「チャイナリスク」、「チャイナビジネス」著者 筧 武雄

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