その191.「核文字」を攻める (7)
「核文字」は、漢字のみを使用して来た中国語が、
たくまずして生み出したものとも言える。
そもそも、漢字のみの表記を専らにして来たこと自身が
極めて異例なことであり、従ってそこに生まれた「核文字」
というものも、当然のことながら、極めて特殊なものだ。
だが、肝心のネイティブ中国人は、この点、つまり
「核文字」をどの位意識しているものなのだろうか?
実際に聞いてみた。
と言っても、「核文字」などという概念はまだ受け入れ
られていないので、
「あなたは、『核文字』について、どういう印象を持って
おられますか?」
などと質問する訳にはいかない。
ちょっと、意地悪だが、こういう質問をしてみる。
「全ての漢字を二つに分けたら、どうなりますか?
あなたなら、どう分けますか?」
いろいろな答えが返って来た。
「何のこと?」
「何のために?」
「画数で分けられますね。」
「私が好きな漢字と嫌いな漢字になら、
分けられるけど。
いや、中立的な漢字が多いから、
三つにだったら分けられるかな?」
「私が読める漢字と読めない漢字。」
「良い漢字と悪い漢字。」
「無機的な漢字とエロチックな漢字。」
「私に意味が分かる漢字と意味が分からない漢字。」
「話し言葉で使われる漢字と書面で使われる漢字。」
「頻出漢字とそうでない漢字。」
「意味が多い漢字とそうでない漢字。」
「二文字以上が組み合わさって意味を成す漢字と
そうでない漢字。」
おお、いい線行っている。
もう少しだ。
「中国語の語法に係る漢字とそうでない漢字。」
「それって、どんな漢字ですか?
例を挙げていただけませんか?」
「えーと、例えば、
“是”、“有”、“可”、・・・・、
“比”、“被”・・・・・。」
「すごいですね。
すでに、100は超えていますよ。」
さすがは、ネイティブ、既に「核文字」を
自家薬篭中のものとしている。
(続く)
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