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 100万人の中国語


その189.「核文字」を攻める (5)


 中国語は、漢字一色であるため、とかく、どの漢字をも
同等に扱ってしまいがちだが、実は、数千個の漢字が皆
一つの社会のメンバーであり、同等の権利を有し、社会に
対して同じような貢献をしているという訳ではないのだ。

 数千個の漢字の内、いろいろな仕事をしている漢字も
あれば、そうでない漢字もあるのだ。

 活躍する方の漢字は、喩えて見れば、一枚の布で、

ハンカチ、ふきん、おしぼり、鉢巻、・・・

として使われているようなものだ。ちょっと見方を変えれば、
この部類の漢字は、酷使されているとも言えよう。

 本当か?

 本当だ。

 仮に、文法が深く絡む、英語の“can”にあたる“会”
を見てみると、

 “明天開会,他会不会参加会議?”

(簡体字・繁体字とも表示できないため、日本漢字
で我慢してください)



開会”“会議”の“会”と
“会不会”の“会”
では、明らかに意味が異なる。

もし、後者の“会”を“can”であらわすことができた
とするなら、

“明天開会,他can 参加会議?”

などとなり、“会”の負担は、ぐっと減るだろう。
或いは、“会”にあたる文字を別の文字、例えば、
“■”といった文字を充てることができれば、

 “明天開会,他■不■参加会議?”

などと出来、やはり、“会”の負担は減るだろう。

 但し、そうなると、“■”という文字を覚えなければ
ならなくなる訳で、全体として、学習者の負担軽減につながる
かどうかは、はなはだ疑問だ。

 まあ、他国の言語にいろいろ注文を付けるというのも
性ないことだ。まずは、あるままに受け入れよう。

いずれにせよ、ここで言いたいのは、“会”のように大活躍
している漢字、「マルチプレーヤー」「オールラウンドプレーヤー」
がいるということだ。


(続く)

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