その184.<一文字>〜<多文字>(7)
重要度から言えば、既に述べた如く、<一文字>〜
<多文字>、いずれも重要だ。
だが、それらを勉強する順番となると、自ずと、
優先度が付けられよう。大方の人は、常識的に考えて、
<一文字>から始めるのが妥当だと考えるであろうが、
それは、まさしくその通りで、<一文字>への習熟なく
して<二文字>〜<多文字>への習熟は図れない。
私もそのように考えて、先ず、<一文字>にスポット・
ライトをあてて、<一文字世界>を探索することに決めた。
ところが、当初予想していたものとはかなり趣の異なっ
た展開になった。
どういう風にかと言えば、こういうことだ。
当初、私は、<一文字>にこだわり過ぎ、<一文字>以外
を相手にしていなかったが、それでは、所期の目的は果たせ
ないことが分かった。
もっと具体的に言えば、例えば、最初は、
<一文字>だけで動詞となり得るもの
を、収集し出した。
例えば、“看”。
これは、単独一文字で、使える文字だ。よって、この文字が
単独で使われる場合の意味のみを取りあえずまとめてみようとした。
1.見る
2.読む
3.訪問する
4.見舞う
5.観察する
6.診察する
7.思う
8.見込む
9.気を付ける
10.管理する
11.・・・にかかっている
12.・・・してみる
大体、以上のような意味を持っていると考えられる。
ところが、もう少し厳密に見てみると、ある文字に
ついては、一文字単独では、上記の意味合いを表現する
ことは無理であることが分かって来た。
回りくどい言い方を止めて、例を挙げると、
1. 見る
8. 見込む
だが、
1.“看”は、「見る」→“看市場”(市場を見る)
8.「見込む」は、“看好・・・”→“看好市場”
(市場がよいと見込む)
という風に、8.は、もはや、“看”一文字の世界から
はみ出してしまっている。
つまり、“看”→“看好”といった具合に、<一文字世界>
は、アメーバのように<二文字世界>〜<多文字世界>へ、
漏れ出してしまっている、或いは、染み出してしまっている
のだ。
“好”の一文字からスタートしても同じだ。
中国語は、基本的な語彙、使用頻度の高い語彙のかなりの
ものが、もはや一文字単独ではないのだ。
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