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 100万人の中国語


その120.二段ロケット式外国語学習法(2)

 外国語学習は、大変骨が折れるものです。イギリス人P・G・ハマトンもその著書『知的生活』(講談社学術文庫)で、「フランス語をやり過ぎてはいけない」というようなことを述べていますが、外国語学習は、やり過ぎると体を壊すおそれがある程体力を消耗するというのです。

 では、なぜ外国語を身に付けるという行為が、このような労苦を我々に強いるのでしょうか?

 私は、言語というものが人類にとって最大の習慣の一つであり、ぞれぞれの言語において、その習慣が既にしっかりと固まっているからだと見ます。

 具体的な例を挙げてみますと、まず、一部の「音」が違います。英語の“bird” を「バード」と発音しても通じません。

 中国語と日本語の「音」の違いに関して言えば、中国語を母語とする人達は、3日もあれば、「これは、なんですか?」が日本語で発音出来てしまうのに反し、日本人は、中国語の“zhè shì shén me?”を発音することが苦手で、下手をすると、3年かかっても言えないというような、まさに、笑うに笑えないような事態が起きてしまっています。(本当の話です)

 また、語彙の面で言えば、日本語を母語とする我々が習慣的に「水もしたたるいい男」という言葉を思い浮かべることは良くありますが、それを、習慣上このような表現をしない英語へとそのまま移し替えることはできません。どうしても、英語の習慣に基づき、その範囲内で最も近い表現を探して来て表現するしかないのです。

 中国人は、中国語の
 “我認床。”
が、日本語では
 「枕が変わると眠れない。」
だと知って、目を丸くするに違いありません。

(続く)
 

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