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中国ビジネス実務指南


中国ビジネス実務指南― 麗澤大学外国語学部 教授 梶田 幸雄

【第227回】「独身の日」と大学生の消費生活

アリババ集団は、「独身の日」のセールで取引額が約1600億元を突破した。2016年の1200億元を大幅に上回った。
中国におけるソーシャル消費財の総小売売上高は、2012年の21兆元から2016年の33兆元に増加し、2013年から2016年にかけて年平均成長率11.6%を示している。消費が経済成長の原動力となっていると言える。2017年1〜9月では、個人消費の経済成長への最終貢献は64.5%に達した(人民日報 2017年11月14日)。
「消費の盛り上がりだけでなく、“アリババ・エフェクト”は個人消費や技術革新の風景を大きく変えている。」(日本経済新聞2017年11月12日)という評価もあるようだが、この勢いがいつまで続くだろうか。
中青輿情観測室が2017年11月1日の「独身の日」(双十一)に全国の840名の大学生の商品行動を調査したところ、75.48%の大学生が買い物をしたが、このうち54.42%は500元以下しか使っておらず、76.81%の大学生が購入したものは当面必要なものではないと言い、予想以上に買い物をしたと言う大学生は27.6%しかなかった(中国青年報 2017年11月17日)。
多くの大学生は、お祭り騒ぎに踊らされてむやみに買い物をすることをしなくなり、「理性的消費」をするようになっているようだ。また、ネットで売られる商品の品質が必ずしもよくないことや物流の問題で納品が速やかではないことなどの問題も指摘される。
中国初の高等教育に関する管理データやコンサルティングを提供する会社「麦可思」の調査によると、全国の大学生(有効回答数5,434件)の毎月の消費は平均1,243元(学費、通学交通費を除く。)であり、大学生の3割は生活費が足りないと言う(China Daily 2017年11月23日)。

図1  大学生の毎月の消費傾向(基本的な食費を除く。最大支出3項目を選択。単位:%)
出所:麦可思の調査による。

 さて、「95后」(1995年以後に生まれた世代)が憧れる職業がこれまでと随分と変わってきている。最もなりたい職業は、ライブ・ストリーミング・サイト経営者、インターネット・セレブ、声優、美容師、コスプレイヤーとして国際的にも著名になることであるそうだ。このほかにブロガー、ドローン操縦士、旅行プランナー、ゲーム・コーチ、ファッション・バイヤー、インターネット・マーケティング・スペシャリストなどがある。
大学生に限らず、消費者は、個性化、多様化、差別化を追求するようになりつつある。今後、多様な消費に応える商品開発や商品販売戦略が必要になってくる。「90后」「95后」「00后」の動向を把握することも重要な経営戦略となる。

 

梶田 幸雄氏 プロフィール 

  • ●現職
  • 麗澤大学外国語学部 教授
  • ほかに中小企業総合事業団国際化支援アドバイザー、富山県貿易・投資アドバイザー、北京航空航天大学法学院兼任教授などを兼務
  • ●略歴
  • 学歴:中央大学大学院博士後期課程修了。博士(法学)
  • 職歴:財団法人日中経済協会、日本能率協会総合研究所、日本経営システム研究所
  • ●専門分野
  • 中国法、国際企業法、商法
  • ●研究業績(主な著書)
  • 『チャイナウォール』(通商産業調査会、1993年)、『中国への事業展開と法制度』(国際商事仲裁協会、1995年)、『中国進出企業のトラブル事例と解決法』(日本能率協会マネジメントセンター、1995年)、『中国投資はなぜ失敗するか』(共著、亜紀書房、1996年)、『日中対訳 中国進出企業の各種契約モデル書式集』(日本能率協会マネジメントセンター、2003年)、『中国国際商事仲裁の実務』(中央経済社、2004年)など。

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