世界最大の離岸式⼈⼯島空港となる大連の新空港(1)

大連市が新しい空港を建設すると聞きました。どのような空港なのか、詳しいことを教えてください。


最近、大連市では、大連新空港のことが話題になっています。世界最大の離岸式⼈⼯島空港となる「大連⾦州湾国際空港」のことです。大連新空港は、中国本⼟で初の海上空港で、⽇本の関⻄国際空港などの大規模国際空港の建設技術を参考にして、海洋埋め⽴てによる⼈⼯島に空港を建設し、2026 年の運営開始を目指しています。しかし、じつは大連新空港の計画は 2000 年からすでに存在していて、2009 年 9 月には事業計画は大連市政府に認可されていました。そして 2013 年に空港の建設が始まり、⼀時は 2018 年までに開港できると大連市では発表されていました。ところが中央政府の建設許可がないまま埋め⽴て⼯事が始められ、その手続き上の混乱があったため、⼯事は大きく遅れることになったといいます。世界最大の離岸式⼈⼯島空港という、これほどの大プロジェクトが、中央政府の許可なく地方政府が勝手に認可を出して⼯事を進めたなどということが、ありえるのでしょうか。大連市は、新空港建設に関する説明で、ことの顛末について触れようとしません。

■中央政府と地方政府の認可の混乱で、埋め⽴て⼯事が一時中止に

当時(2013 年)8 月の中国産業信息網の記事で、この認可違反について、次のような説明があります。中国で埋⽴地に建設される空港プロジェクトの承認プロセスは、原則として、まず国家発展改⾰委員会の正式承認を受け、次に国家環境保護部の環境影響評価と国家海洋局の海洋環境影響評価の承認を受ける必要があります。ところが 2013 年、中央政府である国家発展改⾰委員会は、「我々はこのプロジェクトのことは聞いていない」と声を上げた。
これに対し、大連市発展改⾰委員会は、新空港プロジェクト計画は、まだ中央政府に報告していないことを認めました。認めるのは当然でしょう。中国で、地方政府が中央政府の認可に関する言い分に逆らうことは基本的にはありえない。しかし、大連空港建設開発有限会社の公式サイトで、2011 年 4 月に埋め⽴てのパイロット部分(第 1 期)が着⼯され、「2013 年現在、4 分の 1 程度が埋まっており、今年末から来年前半には完成する予定」だと公表していました。つまり、この建設は国家発展改⾰委員会の承認も、環境保護部や国家海洋局の認可も、埋め⽴てのための海上使⽤権証明書も取得していないのに、3年以上も建設が進められてきた・・・というのです。世界最大の離岸式⼈⼯島空港の建設を、中央政府が知らなかった。中国のような中央集権国家において、にわかには信じられないことです。

⼀方で手続きの不備に関しては、大連空港建設開発有限会社によると、埋め⽴てが着⼯された⼯事は新空港プロジェクト建設ためのインフラ⼯事だったが、実際に承認や認可を取得したプロジェクト名は、「大連空港⼯業園区埋め⽴てプロジェクト」だったといいます。巨額な資⾦と利権が動くプロジェクトを地方の権限で進めるための「上に政策あれば、下に対策あり」的な詐術を使ったのか…と勘繰りたくなります。

専門家は、「海上滑⾛路は陸上空港に⽐べて⻲裂が⼊りやすく、コストは陸上空港建設の最大 20 倍にもなる。こうしたリスクが存在しているので、プロジェクト建設の実現性、建設規模の科学性、投資や資⾦確保の必要性、⼯事の安全性など、さまざまな問題を議論し、厳しいチェックを重ねた上で計画し、実施されなければならない――」と至極当然の説明をしています。そのため、新空港建設プロジェクトが⼀旦中止となった。2013 年のことです。それが、今年 2022 年、正式に中央政府の審査・認可を取得し、2026 年の運営開始目標に向かって、建設が再開されることになった。10 年近くも
建設⼯事が止まっていたことになりますが、その中止となった当時に混乱ぶりは、表には出てきませんが想像に難くないわけです。そうはいいましても、建設が再スタートされた大連新空港が、世界的に⾒て、かなり特異な空港であることに変わりはありません。次号では、具体的にどのような空港を目指しているのかを⾒ていきます。

以 上

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