定年退職時の退職金について

中国現地法人の従業員が定年退職する場合、退職金として経済補償金を支払うのでしょうか?

まず、中国では退職金という概念は存在しません。労働者が定年退職年齢(※)に達し、法に従い基本養老保険給付を受け始めたことにより労働契約が終了した場合、経済補償金の支払事由とはなりません。すなわち、日本では労働者が定年退職を迎えるのときに退職金が支払われますが、中国では、「退職金=経済補償金」を支払う制度になっていないと理解してください。

※中国の定年退職の年齢は、男性60歳、女性50歳、幹部クラスの女性は55歳
(関于企業職工“法定退休年齢”涵義的復函)

この機会に経済補償金の支払いが不要となる主なケースを整理し、〇で注意点も解説しておきます。
① 労働者が先に労働契約の解除を申し出て、合意解除がなされた場合
  労働者が使用者に対し労働契約の解除を申し出たことにより合意解除された場合、経済補償金の支払いは
  不要です。
  〇使用者と労働者のいずれが労働契約の解除を申し出たかについて後に争いが生じる可能性がある。
  〇労働者から労働契約の解除の申し出があった場合、使用者は、後の立証を可能にするため、
   書面で申し出を行わせ、かつ申し出を行った日付についても明確にしておくこと。

② 労働者が労働契約法第37条の規定に従い労働契約を解除した場合(自己都合退職)
  労働契約法第 37 条では、労働者が30日前までに書面形式で通知することにより労働契約を解除できる旨が
  規定されています。
  〇いわゆる自己都合退職に相当し、労働者が同条に基づき労働契約を解除するにあたってその理由は問われ
   ない。
  〇労働者自身による自己都合退職であるため、使用者に経済補償金の支払義務は生じない。

③ 使用者が労働契約法第39条(即時解除)の規定に従い労働契約を解除した場合
  労働契約法では、労働者が「使用者の規則制度に著しく違反した場合」等、労働者に帰責事由が存在する場
  合、使用者から即時の労働契約の解除が可能である旨が規定されています。
  〇労働者に帰責事由が存在する場合の労働契約の解除であるため使用者に経済補償金の支払義務は生じない。

④ 使用者が労働契約に約定する条件を維持し、または引き上げて労働契約を更新しようとしたものの、労働者が
  更新に同意しないために、期間を定めた労働契約が期間満了により終了した場合
  〇期間の定めのある労働契約が期間満了で終了する場合について、労働契約法の施行前までは経済補償金の支
   払事由とはされていなかった(労働法7第 28 条参照)ものの、労働契約法施行後は経済補償金の支払事由
   とされた(労働契約法第 46 条第 5 号、第 44 条第 1 号)。
  〇労働契約法では、例外的に、使用者から従前と同一又はそれ以上の条件で労働契約の更新提案があったにも
   かかわらず、労働者が更新に同意せずに期間満了により労働契約が終了した場合には、経済補償金の支払い
   は不要とされた。
  〇使用者が従前と同一又はそれ以上の条件で労働契約の更新をしようとしたとの事実、又は労働者が更新に同
   意しないとの事実の有無について、後に争いが生じることが十分に予想されるため、これらの事実につい
   て、書面等の客観的な証拠を残しておくべきである。

⑤ 労働者が定年退職年齢に達し、法に従い基本養老保険給付を受け始めたことにより労働契約が終了した場合
  〇上記のAで説明した通りです。

⑥ 労働者が死亡し、又は人民法院から死亡を宣告され、もしくは失踪を宣告されたことにより労働契約が終了し
  た場合
  〇中国では、労働者が死亡したことにより労働契約が終了する場合も、経済補償金は支払われない。
  〇日本では、労働者が死亡した場合、就業規則や退職金規程等に基づき死亡退職金が支払われるケースが少な
   くない。

参考法令:

中国労働契約法(主席令第 65 号、2007 年 6 月 29 日公布、2008 年 1 月 1 日施行、2012 年 12 月 28 日改正公布、2013 年 7 月 1 日改正施行)

第39条 (使用者による労働契約解除)
労働者に下記のいずれかの状況がある場合、使用者は、労働契約を解除することができる。
(1)試用期間中に雇用条件を満たしていないと証明された。
(2)使用者の就業規則に甚だしく違反した。
(3)甚だしく任に耐えず、不正な手段で私腹を肥やし、使用者に重大な損害を与えた。
(4) 労働者が他の使用者と同時に労働関係を樹立しており、企業の仕事の完遂に重大な影響をもたらすか、
  使用者の指摘にもかかわらず、改めない。
(5)労働契約法第26条第1項が規定する状況に因り、労働契約が無効である
(6)法に基づき刑事責任を追及された。

第39条 (使用者による労働契約解除)
労働者に下記のいずれかの状況がある場合、使用者は、労働契約を解除することができる。
(1)試用期間中に雇用条件を満たしていないと証明された。
(2)使用者の就業規則に甚だしく違反した。
(3)甚だしく任に耐えず、不正な手段で私腹を肥やし、使用者に重大な損害を与えた。
(4) 労働者が他の使用者と同時に労働関係を樹立しており、企業の仕事の完遂に重大な影響をもたらすか、
  使用者の指摘にもかかわらず、改めない。
(5)労働契約法第26条第1項が規定する状況に因り、労働契約が無効である。
(6)法に基づき刑事責任を追及された。

以 上

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