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  ■中国市場への視点 (株)チャイナワーク


外国人観光客への税還付政策が北京と上海で始まる

 
7月1日より北京と上海で外国人観光客への税還付政策が始まりました。外国人観光客の消費活性化や旅行客の増加を意図しており、国内経済、特に国内の観光業界の発展にプラスになると期待されています。 同様の政策は2011年に海南省においてテスト実施されており、この度全国的に拡げる条件が整ったとの財務部による判断を経て、外国人旅行者の多い北京と上海で導入されることになりました。

 同政策は、外国人観光客(香港、マカオ、台湾を含む)の買物に対して、一定の条件を満たしていれば11%の増値税を還付するというもので、対象となる北京(86店舗)及び上海(27店舗)の百貨店において対象商品を1日当たり同店舗で500元(約1万円)以上購入することによって還付されます。
 ただ、この還付手続きが少々複雑なのです。日本でも、昨年より外国人観光客に対する免税範囲が拡大され、“爆買い”する観光客で賑わう商店が増えていますが、免税手続きは各店舗で行うことができます。しかし、この度中国で実施される同政策では、まず、商品購入時にパスポートを提示して、正規の領収書と税還付申請書を取得します。そして出国時に税関での審査と捺印を受け、空港などに設置されている税還付の代理機関で還付を受けることができるのです。11%の還付が受けられると前述しましたが、この代理機関で手数料を2%取られるため、実際に還付を受けられるのは9%となります。
 また、税還付の合計金額が1万元を超える場合は口座振替で支払われ、1万元未満の場合は口座振替と現金受取を選択できます。他にも、税関において現物検査が行われるため、先に荷物をまとめてしまわないよう、税関からも注意喚起が出されています。
 そして、この税還付政策の対象者についても細かく規定されています。
 @中国本土の滞在日数が連続して183日未満である外国人旅行者であること
 A対象商品の購入日から滞在日数が90日を超えていないこと
 あくまでも外国人観光客が対象となっているので、頻繁に日本に帰国する中国在住者は条件を満たしていても、対象になるかどうかは税関での判断に委ねられることになります。

 国際社会では多くの国で実施され既に一般的となっている免税政策ですが、中国はこれらに遅れを取る形での導入となりました。上海では今後、市の関連サイトや税務局、税関、旅游局などのサイトで同政策を紹介するページが作られ、観光地ではハンドブックが配られるようになるそうです。
 冒頭にあるように、観光業界の発展を目指すだけでなく、中国の自国商品の輸出促進を促進させる狙いもある同政策がどれだけの消費を刺激できるのでしょうか。日本の“爆買い”のような現象が起これば、中国市場に進出している企業も外国人旅行者向け商品を作るようになるかもしれません。


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