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  ■中国市場への視点 (株)チャイナワーク


奇瑞ジャガー・ランドローバーの常熟工場が稼動開始


 このほど、インド自動車大手タタ・モーターズ傘下の英高級車メーカー「ジャガー・ランドローバー」と中国の自動車大手「奇瑞汽車」は、江蘇省常熟市に建設した合弁工場の稼動開始式典を開催し、初の中国国産モデル「レンジローバー・イヴォーク」がラインオフしました。
「一番遅れて中国合弁会社を設立した主要高級車メーカー」という言い方もされるジャガー・ランドローバーの、今後の展開に注目が集まります。

 ジャガー・ランドローバーと奇瑞汽車は2012年3月、中国で合弁事業を展開することで合意、折半出資により109億元(約2,040億円)を投じて「奇瑞捷豹路虎汽車有限公司(奇瑞ジャガー・ランドローバー)」を立上げ、新工場や研究開発センターの建設を行ってきました。
 国産第1号モデルのレンジローバー・イヴォークは2014年11月19日に広州モーターショウで正式発表される見込みです。同モデルは国産化に際して、従来からの輸入モデルの特徴をほぼ完全に引継いでいます。多くのメーカーが国産化に際し、中国市場の好みに合わせて車体を「長く」アレンジしたのに対し、レンジローバー・イヴォークは外観を変えていません。また、動力についても、現段階ではフォード製エンジンを搭載しています。同社では、国産化の第一段階では品質を重視し、ジャガー・ランドローバーのグローバル統一基準に照らして購買、サプライヤー管理等を行っていると語っています。
 販売価格の公表は新車発表を待ちますが、現行の輸入モデルより12万元(約225万円)ほど下がった40万元台(約749万円〜)の価格が実現しそうです。

 販売戦略についても、同社ではユニークな方法を採っており、国産モデルの販売にあたり、従来の輸入モデルの販売ルート、リソースを合併して進めていく計画です。他社では、国産化が進むに連れ、同一ブランドの国産モデルと輸入モデルが市場で衝突し、販売店が値引き合戦を繰り広げて混乱を招くという事態もありました。
 これら戦略の根底には、同社の「国産化の初期には品質とブランドイメージの安定を図り、高級車市場4位の座を守りたい」という考えがあるようです。同社の中国高級車市場での位置づけは、現状、「アウディー、BMW、ベンツ」の第1陣に続く第2陣に属します。今年1月〜9月には9.23万台を売上げ、前年比38.7%増を達成しましたが、第1陣の三大ブランドは、同1〜9月にそれぞれ41.6万台(アウディー)、33.6万台(BMW)、20.3万台(ベンツ)を売上げており、その強さは圧倒的です。
キャデラックやインフィニティ等、同じく第2陣に属すブランドも急成長を遂げる中、同社としては何とか4位の座をキープせねばなりません。現段階では、急激な国産化で価格を下げ、販売数量のアップを優先するよりも、消費者の反応を見ながら国産化の程度を徐々に上げていく、という慎重な姿勢が勝っていますが、第2陣の激しい競争に勝ち続けるには今後、国産化のメリットをいかに体現させていくかが重要になってきます。
 この度稼動した常熟工場は、年産13万台のエンジン生産能力を有しています。ジャガー・ランドローバーは現状、相当数のエンジンをフォードから調達していますが、4気筒のINGENIUM(インジニウム)ディーゼルエンジンを自社で新開発しており、このエンジンの国産化が2016年にも実現する見込みです。


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