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  ■中国市場への視点 (株)チャイナワーク


まもなく、上海・香港間での株式相互売買スタート!

 
日本では、毎日テレビや新聞で、香港での学生による民主主義デモについて取り上げられているようですが、こちら中国では情報統制があり、ニュースや新聞ではほぼ取り上げられていません。ただし、巷では中国人ならではの目線で、このデモに大変注目しているようです。
 中国では日本に比べて個人による株式投資が広く一般に浸透しています。若年層は、パソコンやモバイルで株式売買を行うようですが、平日の証券会社に行ってみると、定年退職した老人達で溢れており、憩いや娯楽の場と化しています。毎日夕食時には、その日の株価と市場動向について解説する番組が放映されています。こんなわけで、一般の中国人が関心を寄せているのは、香港の民主主義の行方ではなく、香港株価に与える影響と近く実施予定の上海・香港間の株式相互売買、いわゆる「上海香港直通制度」にどのような影響を与えるか、ということのほうに着目しているように感じます。

 ちなみに、中国株にはA株とB株の2種類あります。B株は米ドル建てで取引され、海外投資家にも開放されていますが、A株は人民元建てで、国有企業や中国を代表する大手企業が上場しており、海外投資家には開放されていません。上海・香港株式の相互売買により、海外投資家でも香港の証券会社に口座を持っていれば、規定の取引額上限内で、A株を購入できるようになるというわけです。開始当初は取引額の上限を設定するものの、海外から中国株への投資と、中国から香港株への投資が可能となるため、アジアの金融中心である香港株式市場と相互取次ぎによって、香港を介して中国本土に投資マネーを呼び込み、人民元取引が拡大することが期待されています。そして、香港ハンセン指数は下落したものの、上海総合指数は年初以来の高値を記録しました。

 さて、「上海香港直通制度」は今年3月に中国政府主導によるアジア経済を議論するボアオアジアフォーラムで、李克強首相がこの構想を発表して以来、準備が進められてきましたが、国慶節を目前にした先月末、ようやく上海証券交易所から『上海証券交易所上海香港直通制試点弁法』及び『上海証券交易所香港株投資者適正管理手引き』が公布されました。具体的な開始日時はいまだ発表されていませんが、早ければ今月末から開始すると言われています。株式相互売買の対象に指定された銘柄は上海A株が380銘柄で上海市場全体の約9割、香港株が266銘柄で香港市場の約8割です。中国人の投資家達は、本土に上場していない香港の優良企業やカジノなどの娯楽企業のように本土に進出していない集団企業への投資に関心を寄せているようです。

 ところで、先月末、中国人民銀行(中央銀行)がここ数年規制してきた不動産売買の緩和を発表しました。2戸目以上の住宅でも1戸目のローンを完済していれば、1戸目と同じ条件で住宅購入とローン返済が可能になります。こういった政府の規制緩和やその他の景気刺激政策も株価上昇の要因となり、ますます上海香港直通制度への期待と関心が高まっています。


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