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  ■中国市場への視点 (株)チャイナワーク


商標大国 中国

 中国国家工商行政管理総局が明らかにしたところによると、2014年6月末時点で中国の商標申請数が累計1,425.7万件に達したことが分かりました。登録数は累計907.5万件で、そのうち有効な商標は761.1万件に達し、2002年以来12年連続で世界一の座を維持しています。
 しかし、「登録数から見ると商標大国と言えるが、国際的に有名なブランドは少なく、価格と労働力によるコストの優位性に頼るだけで、先進国に比べるとブランド競争力は劣っている。海外と取引のある中国企業のうち、自主ブランドを持っているのは20%に過ぎず、自主ブランドの輸出額も輸出全体の11%でしかない。」と中国国家工商行政管理総局の張局長は指摘しています。また、競争力に富む商標は不正に登録される、いわゆる「冒認出願」の対象になりやすいため、商標など知的財産権の保護に更に力を入れる必要があるとも述べています。

 「冒認出願」されてしまうと、企業は自らのブランドを商標として使用できないだけでなく、ブランドイメージの毀損など多大な悪影響を及ぼします。「冒認出願」は、企業が事業を行っている商品分野に限らず、商標登録していない商品分野での出願や日本の地名や地域ブランドでの出願、マンガのキャラクターを利用した出願などの他に、類似といえるかどうか微妙な態様に変更した商標にするといった手口の巧妙化もみられます。
 こういった「冒認出願」が増加している背景のひとつとして、インターネットの普及が挙げられます。誰でも簡単に外国ブランドの情報を入手することができるため、中国未進出のブランドを先に商標登録して、それを盾に商標を高値で買取らせようとしたり、「冒認出願」を手引きする代理人が現れたりするなど悪質な業者が存在しているのです。

 また、「冒認出願」と同じく多くの被害が報告されている模倣品・海賊版についても、インターネットの普及により、被害が増大しています。インターネット上での取引は匿名性が高く、侵害者を特定することが難しいうえに、法制度も未整備な状態のため、問題が深刻化しているのです。中国の主要都市(北京、上海、広州、重慶)におけるオンライン上の違法な日本コンテンツの入手・視聴件数は年間で約72億件、中国全体では512億件という膨大な件数に上ると試算されています。
 そして、模倣品の手口もやはり巧妙化しています。特許庁が取りまとめた「模倣被害調査報告書2013年」によると、調査対象8,081社のうち68.7%が中国で被害を受けており、中国で多く見られる模倣手口として挙げられているのが、「見た目はそっくり作り、商標を付けずに販売」、「中身と包装やロゴシールなどを別々の場所で製造し、販売時に合わせる」、「摘発を逃れるために、在庫を貯めず次々と出荷しており、在庫を押収できない」など巧妙なものばかりです。
 同報告書では、こういった模倣被害への対策も調査されています。「国内外での知的財産権の取得」が最も多く実施されている対策で、次いで「模倣品の製造業者・販売業者への警告」、「製造業者の調査」と続いています。これらの対策のうち、効果のあるものとして「模倣品の製造業者・販売業者への警告」が挙げられていますが、これはインターネット上での模倣被害対策で、特に効果があるものとして挙げられた「販売・出店業者に通報・警告」と同じ調査結果となりました。しかし、「対策をしていない、または検討中」と回答した企業や、「被害が発生していない、または被害を把握していない」ために対策をしていない企業も多く存在し、現状では有効な対策を取れていないようです。
 特許庁に寄せられた要望には、セミナーや講演会の拡充、啓発活動の強化といったものが多く、今後も積極的な情報収集、意見交換が重要になってくるでしょう。


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