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  ■中国市場への視点 (株)チャイナワーク


産業用ロボット市場の発展に新たな契機

 中国のロボット市場は、国際ロボット連盟(IFR)によると、2014年に日本を抜いて世界最大になると予測されています。
 中国メディアによると、今年になって、珠江デルタ地域の広州市、佛山市、中山市等で相次いで「ロボット化」に関連する政策が打ち出されているとのことです。これによると、当該地域での産業用ロボット使用を拡大させるほか、珠江デルタを「ロボット・インテリジェント生産設備の産業基地」に発展させる計画が進められています。当該地域での産業用ロボット使用は、年間30%増のスピードで拡大しており、業種によっては60%にもなります。「世界の工場」と呼ばれた低コストの労働人件費に頼る方式からの脱却を目指しています。
 広州市政府が今年4月に公布した「産業用ロボットとインテリジェント生産設備の発展推進に関する実施意見」では、発展目標として、2020年までに、産業用ロボットを中心とする1000億元規模のインテリジェント設備産業群を形成すること、年間生産台数10万台(セット)規模まで生産能力を高めること、全市の80%以上の製造業企業が産業用ロボットとインテリ設備を使用すること、などが示されました。
また、同「意見」では、海外の業界リーディング企業とは住み分けを図り、ロー〜ミドルエンド市場から攻略すること、キーパーツ製造を促進するために、企業の研究開発、技術導入、合資合併、海外でのR&D機構設立などを奨励することに加え、関連プロジェクトのための資金補助についても、明らかにされました。

 工業ロボット化の動きは、珠江デルタ地域に止まるものではありません。東北地域は中国国内有数の工業地帯ですが、このほど国務院へ提出された「東北地域の振興方案(草案)」においては、新興産業を育成するにあたり、工業化と情報化の融合による発展を重視するという内容が盛込まれたとのことです。今後の政策次第では、珠江デルタ地域に続き、ロボット化革命を迎えることになります。

 中国のロボット市場は、もちろん、海外の企業にとっても大きなチャンスです。2013年産業用ロボット販売数のグローバルランキングをみると、1位は日本・安川電機(30万台)、2位はスイス・ABB(25万台)でした。この2社は早い段階から、中国市場を見据え、現地生産・販売の準備を整えてきました。安川電機は2013年に常州のロボット工場を稼動、青島のロボット産業園にも工場を建設中です。ABBはロボット事業のグローバル本部と2大生産基地のうちの1つを上海浦東に置いています。
 
 現段階では、産業用ロボットの中国メーカーは、減速機やサーボモータ等のキーパーツを日本やドイツなど、海外メーカーからの供給に頼っている模様です。そうした意味でも、中国のロボット市場の活況は日本企業にとってチャンスですが、上述の通り、中国は国レベルでこの業界の発展に注力しており、有望な国内企業も徐々に育ってきています。今後、競争はますます激化することでしょう。


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