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  ■中国市場への視点 (株)チャイナワーク


時代とともに変わる流動人口


 9月10日、国家衛生計画出産委員会が「2013年中国流動人口発展報告」を発表しました。「流動人口」とは、安定した生活基盤を持たず、職場と住居を点々とする人々のことを指しています。報告によると、2012年の流動人口が2億3,600万人(前年2億3,000万人)に達し、全人口の6人に1人が流動人口となりました。流動人口の平均年齢は28歳で、労働年齢の流動人口のうち半数以上が1980年代生まれだといいます。

新世代の流動人口の意識転換−生存型から発展型へ
 近年の流動人口の中には、都市でお金を稼ぐことだけが目的ではないという人が増え、都市に定住してそこでの発展を望んでいます。また、個人での流動から家族単位での流動へと変化し、それに伴って生活や仕事を安定させる人が増え、流動人口の6割以上が同じ仕事を3年以上続けています。ただ、家族単位での流動が増えたとはいえ、一家で一度に転入できる家庭は少なく、7割近い家族が、先に夫婦がやってきて環境を整え、子供たちを迎えるという方法をとっています。こういった手間がかかるとはいえ、家族単位での流動によって、転入地における帰属意識を持ちやすくなり、幸福感の向上にも繋がるという分析もあります。

流動人口の収入は着実に上昇
 調査によると、今年4月の流動人口の平均賃金収入は3,287.8元で、前年同期比4.9%増となっています。流動人口の多くは私営企業に勤めるか、個人経営を行っており、彼らの勤め先は製造業や卸売・小売業、ホテル・飲食業など5業界に集中しています。ここ2年間は、製造業で就業する割合が減少し続けており、逆に、小売業やサービス業への就業人口が増加しています。

今後の課題は公共サービス制度の整備と、流動人口の社会への融合促進
 流動人口のうち出産可能な年齢にある既婚女性は6,307万人に達し、全国の約4分の1を占めています。また、流動人口の家庭で生まれる子供の数は、全国の同時期出生数の3分の1を占め、妊娠中の女性が転入地での出産を選ぶ割合は70%に達しています。しかし、地域によって公共サービスの政策制度が違うため、流動人口の特に農村から都市部にやってきた人たちは、転入先の都市に本当の意味で融合できていないといえるでしょう。 世界一の人口を有する中国が都市化を推し進めるためには、流動人口が抱える問題をきちんと考え、需要に応えた政策を打ち出してゆく必要があるでしょう。そして、中国各地に散らばる流動人口が安定した暮らしを立てられるようになると、現地企業が離職率の高さに頭を悩ますこともなくなるかもしれません。



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