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中国市場への視点 米中関係の悪化をどうみるか(新春寄稿)

最初は単なる米中貿易の紛争だと思っていた方が多かったのではないでしょうか。

当初は2017年の米国の対中貿易赤字が3,750 億ドルに上り、それを不満とするトランプ大統領が行動を起こした。中国からの輸入品に段階的に関税をかけたため、中国がそれに報復するという貿易摩擦にみえました。
また、昨年の途中から、この問題は、「中国製造2025」に対抗する次世代技術の覇権争いだという指摘も多くなっていました。

それでもまだ、当時の中国では経済問題だと楽観視していたのだと思います。

■ペンス副大統領の演説が転換点

しかし昨年 10 月 4 日、ペンス副大統領がハドソン研究所で行った演説は、そうした楽観論を吹っ飛ばしてしまいました。まさしくパラダイムシフトが起きたように。

40分を超えるこの演説でペンス副大統領は、米中問題は貿易摩擦や経済分野だけではないことを明らかにしました。民主化、宗教、外交政策、台湾問題、米国内の中国による圧力やサイバー攻撃…等々。これらの安全保障上の問題で中国に「断固として立ち向かう」ことを宣言したのです。

ジャーナリストの長谷川幸洋氏は、この演説を「かつての米ソ冷戦の始まりを告げた“鉄のカーテン”演説に匹敵する歴史的出来事である」と述べています。

ここで中国は、その異変に気が付きます。まさか安全保障面で、ここまで米国を刺激することになるとは思いもよらなかった。それ以降は、中国は“対抗辞さず”の姿勢から実質的な譲歩を強調するようになってきました。

私たちから見れば、中国に対して触れてはならないタブーの領域に米国は辺りかまわず踏み込んでいるように見えます。しかし中国は逆に、米国が本気であると見て取ったようです。

米国に対抗すれば、米国のみならず、その他の国からも警戒が高まり、中国は孤立してしまいます。そうすると、一帯一路や自由貿易推進といった中国が世界に掲げている基本スタンスが揺らいでしまう。

本来、中国は、鄧小平氏が強調した韜光養晦(とうこうようかい)、すなわち「才能を隠して、内に力を蓄える」という外交・安保の方針がありました。しかし、習近平国家主席がそれを逸脱してしまったが故の失態と指摘されても仕方がない事態になってきました。

■中国の逆境はまだ続く

中国は、トランプ氏はビジネスマンなので、経済的なメリットを与えれば問題が解決するだろうと高をくくっていたふしがあります。また、反トランプ陣営も対中政策で足並みが揃うとは想定していなかった。

ある意味、トランプ大統領は単純です。経済的利益と次の選挙への得点があれば満足する。しかしトランプ大統領の周りは、その勢いに乗って“中国つぶし”に動き出しました。対抗しても譲歩しても米国の圧力は止まらない。米国からの要求が次から次へと出てくる有様。米国は、圧力をかければ中国が譲歩することを知り、これが効果的であることを確信したようにも見えます。

これはつまり、中国は安全保障問題で米国と対立の構図を作ってしまった。そのために問題をより複雑にしてしまい、たいへん難しい状況に陥ってしまったようです。

昨年末からの中国通信機器メーカー「ファーウェイ」を巡る問題も、次世代移動通信5Gが経済から安全保障の問題にすり替わってしまったために起きた出来事だといえます。

このように、今回の米中関係悪化の根源はとても深く、今後対立の構図は長期化する可能性が高くなってきました。

■今後の米中関係と日本

では、これから米中関係はどうなっていくのでしょうか。

中国がどこまで妥協できるのか。妥協しすぎれば、習近平主席は国内から弱腰だと非難されることになり、今度は国内問題に飛び火することになります。

「中国製造2015」は、労働集約的な産業から高度な産業へと中国が脱皮するために描いた国家ビジョンです。せっかく実現に向かっている今の状況で、それを見直すことは難しい。また、安全保障問題の妥協も、中国共産党の骨幹に関わる重大事項です。

日本の立場も微妙になってきました。日中関係は良好になってくるはずですが、安全保障の問題になってくると、日本は米国側に寄り添わなければなりません。米中の間に挟まれた日本がどのような距離感で両国と付き合っていくのか、そのかじ取りは容易ではなさそうです。

桜葉コンサルティング株式会社
代表取締役 遠藤 誠

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