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中国ビジネス実務指南


中国ビジネス実務指南― 麗澤大学外国語学部 教授 梶田 幸雄

【第209回】回復基調の中国経済

 2017年に入って重要な経済指標に回復の兆しが見える。この回復基調を真に引き上げる力になるのが外資企業であると考えられる。

1 主要指標の改善

2017年1月の中国製造業購買担当者指数(PMI)は、51.3%と6ヶ月連続して50%を超えた。生産者物価指数(PPI)は、2016年9月のマイナスからプラスに転じ、1月は対前年同期比6.9%増、対前月比0.4ポイント増と上昇幅が大きくなってきている。全国消費者物価指数(CPI)は同2.5%の伸びを示した。年間を通じて2%台を維持しそうである。工業生産者工場出荷価格指数(卸売物価指数、PPI)は、2016年9月にはマイナスであったが、2017年1月には対前年比6.9%増、対前月比1.4ポイント増であった。一定規模以上の工業企業の利潤も対前年同期比8.5%増。2016年の年間の社会電気使用量は5兆9,198億キロワット時と対前年比5.0%増加した。これらの数字は、中国経済が回復基調に入ったことを示すものである。

2 課題の存在

しかし、何ら対処すべき課題がなく回復し続けるか、安定的に経済成長を維持できるかと問うと否と回答せざるを得ない。

最大の問題は、経済構造全般の改革の必要性である。2016年に供給サイド改革が提起されたが、まだこの改革は途上である。生産能力の調整では、依然としてゾンビ企業へも輸血を継続している問題がなる。国有企業を含めてゾンビ企業を本当に淘汰しきれるか。在庫調整も行われ始めたばかりである。

財政事情が必ずしも芳しくない地方政府は、なお土地の売買により財政を補おうとする。不動産価格が落ち着きつつあるところもあれば、供給過剰で余剰を持て余す地方、これから価格が上昇しそうな地方が混在する。投機の対象となっていることをうまく調整することができるか。

以上の問題から派生して、金融リスクも高まる。さらにトランプ政権の米国との関係の行方など外部環境という大きな変動要素もある。

総じて、中国政府が、市場経済、市場調整機能にどこまで政策を委ねることができるか、委ねる意思があるかが問題となる。

3 外資企業が担う

「中国製造2025」を実現するには、民間企業の投資、イノベーションのレベルアップが欠かせない。これに関して、中国は外資企業に期待する部分が大きくなるのではないか。

マイケル・J・エンライト氏は、コンピュータ、自動車、化学繊維など先端産業では、外資系企業が資産や売り上げ、付加価値、雇用の3〜5割を占め、外資系企業は中国のGDPの約3分の1、雇用の27%を占めていると言う(エンライト・スコット&アソシエーツと香港ヒンリッヒ財団がまとめた分析。Nikkei Asian Review, http://asia.nikkei.com)。旭化成は、中国企業と折半出資して、太陽光パネルやリチウムイオン電池向けに使われる高機能樹脂を中国で生産することを決めた(日本経済新聞 2017年2月15日)。このような動向は、今後とも増えることになるだろう。

中国政府に外資企業に対する警戒心がないわけではない。それでも中国政府は、中国企業を叱咤し、外資から学べ、技術を習得し、イノベーションをせよということを強く言うようになってきている。

【 梶田 幸雄氏 プロフィール 】

  • ●現職
  • 麗澤大学外国語学部 教授
  • ほかに中小企業総合事業団国際化支援アドバイザー、富山県貿易・投資アドバイザー、北京航空航天大学法学院兼任教授などを兼務
  • ●略歴
  • 学歴:中央大学大学院博士後期課程修了。博士(法学)
  • 職歴:財団法人日中経済協会、日本能率協会総合研究所、日本経営システム研究所
  • ●専門分野
  • 中国法、国際企業法、商法
  • ●研究業績(主な著書)
  • 『チャイナウォール』(通商産業調査会、1993年)、『中国への事業展開と法制度』(国際商事仲裁協会、1995年)、『中国進出企業のトラブル事例と解決法』(日本能率協会マネジメントセンター、1995年)、『中国投資はなぜ失敗するか』(共著、亜紀書房、1996年)、『日中対訳 中国進出企業の各種契約モデル書式集』(日本能率協会マネジメントセンター、2003年)、『中国国際商事仲裁の実務』(中央経済社、2004年)など。

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