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中国ビジネス実務指南


中国ビジネス実務指南― 麗澤大学外国語学部 教授 梶田 幸雄

【第214回】物流業のニーズ拡大に投資チャンス

越境ECが拡大していることを前回のコラムで紹介した。中間所得層が増え、彼らは越境ECで商品を購入することが増えている。彼らは、同時に購入商品を宅配してくれるサービスの向上を求めており、ここに物流業の拡大が見込まれ、投資チャンスがある。
 京東は、大中小及び冷蔵に関する物流を取り扱っている。国家郵政局の統計によると、100万件の小包の取扱いについて、京東物流の遅配はわずかに0.09件、紛失・毀損は0.02件、顧客のクレーム件数は0.21件しかなく、この件数は他の同業者の10分の1に満たない。
 2015年の社会の物流総額は220兆元を超え、第12次5カ年計画期の平均成長率は年8.7%であった。このうち、企業・事業単位及び個人の物流総額は5年間に年平均30%の伸びを示している。2016年上半期には物流業のGDPに占める割合は、約14.6%となっている(http://news.cnfol.com/chanyejingji/20170502/24673941.shtml" \t "_blank)。法人 2017年5月3日)。
 とりわけ成長が著しいのは、速達便、電子商取引、冷蔵物流など迅速な配達が要求されるものである。生鮮食品を扱うコールドチェーンも今後の物流に欠かせない。
  国務院は、2017年4月に「コールドチェーンを速やかに発展させ、食品安全を保障し、消費のゲレードを促進することに関する意見」を発布した。統計によると、一般家庭で腐った食品を消費する割合が30%を超えており、健康問題がある。ところが、果実・野菜などのコールドチェーンによる流通はわずか10%しかなく、損耗率は30%にもなる。コールドチェーンの普及により、果実・野菜の損耗率が5%にまで下げられると年間1,000億元余の節約にもなるという(経済参考報 2017年5月2日)。
 「中国製造2025」戦略では、物流業は重要な生産性サービス業と位置付けられている。中国物流連合会によると上位50社の営業収入は約8,000億元になっている。全国に配送センターも多く設置されるようになった。2015年7月までに全国に1,210の物流センターがある。
 多くの物流企業が生まれ、競争も激化しつつあるところ、より効率的な物流、低コストの物流などが求められる。さらに生活水準の向上に伴って、冷凍物流など新たなニーズが生まれる。このとき新たな技術も必要になる。冷凍保存施設、冷凍輸送設備・冷凍車及びシステムなど。外資企業の技術・ノウハウが必要になる。現在、中国の冷蔵保温車両は7万台、米国の20万台に遠く及ばず、冷蔵庫総量は2,600万トンで、米国の一人あたり冷蔵容量の5分の1でしかない。
コールドチェーン構築の具体的な戦略は、「物流于業発展中長期規画(2014-2020年)」などに基づき、中国物流与採購聯合会に設置されている冷鏈物流専業委員会が担う。少しずつであるが、進展が見られるようである。
 今後、物流業、とりわけコールドチェーンを発展させる上で、幾つか解決しなければならない問題がある。第一に、(1)地方保護主義の問題である。中国は、ごく最近まで流通について、商品の価格管理ということもあり、国家が掌握する制度をとってきた。このために全国的な流通のネットワークの形成を妨げてきたことがある。物流業社が、全国的に事業展開できるように規制緩和する必要がある。第二に、(2)原材料調達、生産、販売といったアップストリームからダウンストリームに至るシステムの構築が求められる。第三に、(3)電子商取引のプラットフォームとの情報伝達、金融システムの構築も必要になる。総じて、物流業を発展させるための関連分野の整備が欠かせない。
 このようなボトルネックがあるゆえに、外資企業が当該分野で中国に進出し、事業展開することは容易ではない。この場合、中国の物流企業との合作ということも視野に入れる必要があるかも知れない。中国企業も外国企業との合作、技術提携を望んでいる。

【 梶田 幸雄氏 プロフィール 】

  • ●現職
  • 麗澤大学外国語学部 教授
  • ほかに中小企業総合事業団国際化支援アドバイザー、富山県貿易・投資アドバイザー、北京航空航天大学法学院兼任教授などを兼務
  • ●略歴
  • 学歴:中央大学大学院博士後期課程修了。博士(法学)
  • 職歴:財団法人日中経済協会、日本能率協会総合研究所、日本経営システム研究所
  • ●専門分野
  • 中国法、国際企業法、商法
  • ●研究業績(主な著書)
  • 『チャイナウォール』(通商産業調査会、1993年)、『中国への事業展開と法制度』(国際商事仲裁協会、1995年)、『中国進出企業のトラブル事例と解決法』(日本能率協会マネジメントセンター、1995年)、『中国投資はなぜ失敗するか』(共著、亜紀書房、1996年)、『日中対訳 中国進出企業の各種契約モデル書式集』(日本能率協会マネジメントセンター、2003年)、『中国国際商事仲裁の実務』(中央経済社、2004年)など。

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