WTO加盟で弾みがつく諸外国の対中投資
投資許可分野の拡大 1994年に終了したウルグアイ・ラウンドの最大の特徴は、GATTの規制対象を、従来のモノおよび同分野の貿易ルールにとどまらず、貿易関連投資措置(TRIM)、GATS(サービスの貿易に関する一般協定)や知的所有権などの諸分野に関するルールも新たに決めたことである。これらの合意の多くは、間接的または直接的に直接投資に関係しており、なかでもTRIM協定とGATS協定の直接投資への影響が最も大きいとみられる。 期待される投資環境の改善 複数の調査に示されたように、日本企業を含む外国企業を中国に向かわせた最大の要因は、中国市場の魅力にほかならない。その次に豊富、かつ安価な労働力と、外資企業への優遇政策があげられている。中国市場をターゲットにする外国企業にとっては、WTO加盟に伴う外国企業への内国民待遇の付与、とくに国内市場の開放が優遇措置以上の意義を持つであろう。 対中投資を新たな高揚期に導くか 1992年以降、中国経済の高成長と改革開放の深化を背景に、諸外国の対中投資は急拡大をみせてきた。93年より、中国は世界で米国に次ぐ第2位、発展途上国として最大の直接投資受け入れ国に浮上し、93−97年の発展途上国の直接投資受け入れにおいて、平均で1/3のシェアを占めている。 2000年1月 |
中国の直接投資受け入れの推移
(単位:億ドル)
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認可件数(件) |
契約金額 |
実行金額 |
|||
79−91年 |
42,027 |
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523.4 |
|
233.5 |
|
92年 |
48,764 |
(275.7) |
581.2 |
(385.3) |
110.1 |
(152.1) |
93年 |
83,437 |
(71.1) |
1,114.3 |
(91.7) |
275.2 |
(150.0) |
94年 |
47,549 |
(▲43.0) |
826.8 |
(▲25.8) |
337.7 |
(22.7) |
95年 |
37,011 |
(▲22.2) |
912.8 |
(10.4) |
375.2 |
(11.2) |
96年 |
24,556 |
(▲33.7) |
732.8 |
(▲19.8) |
417.3 |
(12.9) |
97年 |
21,001 |
(▲14.5) |
510.0 |
(▲30.4) |
452.6 |
(8.5) |
98年 |
19,799 |
(▲5.7) |
521.0 |
(2.2) |
454.6 |
(0.5) |
99年 |
12,249 |
(▲16.91) |
285.9 |
(▲20.1) |
285.1 |
(▲9.1) |
累計 |
336,393 |
|
6,008.3 |
|
2,941.1 |
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【注】カッコは対前年(同期)増減(%)。1999年は1−9月の数字。
【資料】中国対外貿易経済協力省による。