その25
日本語にも中国語の「4声」があった
中国語を勉強するほとんどの日本人は、
中国語の発音の「4声」が難しいと感じているはず。
便宜上@、A、B、Cを「4声」の記号にしておくと、
@ 声は、高いところのまま平らに伸ばす声調。
A 声は、低いところから高いところへ揚げていく声調。
B 声は、真ん中のところからいったん下げてまた揚げていく声調。
実際使うときはA声に変わったり、下げたまま揚げない「半3声」
になるケースが多いが、ここでは議論を省略させていただく。
C 声は、高いところから強く下げていく声調。
同じ「ma」と発音しても、「4声」によってはまったく意味が違う。
@ 声では「媽」:お母さん。
A 声では「麻」:あさ、しびれる。
B 声では「馬」:うま。
C 声では「罵」:罵倒する、という意味になる。
実は、「4声」以外に、もう1つの声調があった。それは、「軽声」だ。
便宜上、「・」を「軽声」の記号にしておこう。
これは、低いところのまま軽く短く発声する声調。
例えば、「ちょっと見てみる」の「看々」は、「kanCkan・」となるのだ。
さて、日本語にも中国語の声調があった、のか?
ちょっと見てみよう。
日本語の「東京大学」は、標準語では「とうきょうだいがく」と読む。
これは、金田一先生のアクセント辞典によれば、5番目の音節から
下げて発声するので、5番アクセントになるのだ。具体的には、
「とう」は、低いところから高いところへ揚げていく声調、
「きょう」は、高いところのまま平らに伸ばす声調、
「だい」は、高いところから強く下げていく声調、
「がく」は、低いところのまま軽く短く発声する声調。
なんと、中国語のA声、@声、C声、軽声と完全合致しているのだ!
おなじ調子の中国語に、例えば、「明日行こう。」の「明天去吧。」は、
「mingAtian@quCba・」と読む。まったく同じ声調ではないか!
すると、B声は?日本語にある?ということになるが、ある。
失敗したときは、「あ〜、また失敗した。」というときの「あ〜」は、
真ん中のところからいったん下げてまた揚げていく声調だから、
これは正に中国語の声調のB声だ。
もう中国語の「4声」なんかは難しくなくなったのだ、よね。
目次に戻る
|