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■中国市場への視点 (株)チャイナワーク
先月7月20日〜22日、国家会展中心(上海)にて開催された、「第16回上海国際キッズ・ベビー・ マタニティ産業展(CBME2016)」を視察してきました。 同展示会は、ベビー業界における世界最大の業界イベントに数えられ、展示分野はマタニティー・ベビーケア用品/ベビーカー、カーシート、家具/食品・ヘルスケア用品/玩具、教育用品/キッズ、ベビーファッション/マタニティファッション/サービス等に及びます。 公式HPによると、今年は2,366社(3,673ブランド)が出展、8万5千名を越える来場者が訪れたとのことです。 筆者は、2013年にも同展示会を訪れています。当時から、中国のベビー・キッズ関連産業は急成長の見込まれる産業として注目されていましたが、それを裏付けるかのように、この展示会が極めて華やかなことに驚いたものでした。それは今回も変わらず、出展ブースは皆、個性的で立派なブース内装を施しており、その豪華さはモーターショーに次ぐかと思われるほどです。 一方、以前との比較で、今回印象的だった点が主に三つあります。 一つ目は、マタニティー向けの商品・サービスとして、妊娠準備(いわゆる妊活)や産後ケアの段階を対象にしたものが紹介され、注目を集めていたことです。市場が成熟してきて、商品・サービスが多様化、細分化していることを感じました。 二つ目は、海外企業では韓国系の存在感が郡を抜いていたことです。以前の視察では、出展者数はさほど多くは無かったものの、日系企業のブースに人が集まっているのを目にし、「安心・安全」が重視される業界における日本ブランドの強さを実感したものでした。しかし今回目を引いたのは「Maide in KOREA」を前面に打ち出した韓国企業で、ブースアテンダントの衣装がチマチョゴリというところもありました。また、分野別出展エリアとは別に設けられた国別出展エリアでも、最大面積を占めたのは韓国エリアで、「日本エリア」は設けられていませんでした。韓国企業が攻めの姿勢を強めていることは、注目に値します。 そして三つ目、今回一番印象深かったのは、知的財産保護の重要性が強調されるのとともに、キャラクターやブランドのライセンスビジネス(商品化権許諾業)を促進する動きが見られたことです。会場には「ライセンスビジネス専門エリア」が設置され、公式HP等でも大きく宣伝されていました。また、知財保護を呼びかける、「上海市工商行政管理局、上海市知的財産権服務中心、上海市知的財産権局」の機関名称と連絡先を記したパネルも掲示されていました。 専門エリアでは、様々なキャラクター、ブランドが紹介され、それらを商品化したグッズも陳列されていました。「ちびまる子ちゃん」「名探偵コナン」「クレヨンしんちゃん」等、中国でも知名度のある日本のキャラクターも目にしました。知的財産権を侵害する「ニセ物」を取り締まるだけでなく、「ライセンスビジネス」という概念を打ち出すことで知財の価値に対する理解を広めるのは、上手い方策だと感心しました。と同時に、決して安価ではない正規のキャラクター商品の存在からは、消費者ニーズが、安心・安全といった品質面の必須要素に加え、買うこと・持つこと・使うことを楽しむ、プラスアルファを求めて移行しているのを感じることができました。
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