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  ■中国市場への視点 (株)チャイナワーク


馬肉の「西頭」の進撃が止まらない、その理由は?

上海花園飯店(ガーデンホテル)はホテルオークラが運営する上海では日系でトップクラスのホテルである。その裏手、茂名南路と長楽路の交差点を渡ってすぐ左手に、馬肉を中心とした焼肉屋「西頭(ニシトウ)」がある。馬の焼肉。馬刺しもある。そして「もつ鍋」は、白味噌仕立てのスープで美味だ。

ドアを開けて中に入ると、元気な声をあげて女性従業員が店の中に案内してくれる。あちらこちらで若い人たちの飲み会の歓声があがる。この日は火曜日の夜11時。私たちは5人で店の中に入ったが、やっと空いているテーブルに押し込んでもらった。平日の深夜にもかかわらず大盛況である。

女性従業員がつたない日本語で注文を取りに来ると、その後ろから、この店の責任者である阿地知総経理があいさつにやってきた。

「皆さん、いらっしゃいませ!いま2号店のオープンの準備で大忙しですが、2号店のほうもよろしくお願いします」

聞けば、この店舗は80席あるが連日満員とのことで、1日の平均売上高が2万元に達するそうだ。客層はローカルの中国人の若者が中心で、約8割を占めている。残りの2割が日本人客ということだが、私が訪れたこの日は日本人、いや外国人は皆無だった。店内では、中国語が飛び交い、乾杯しあいながら大声で楽しんでいる。日本の居酒屋で若者がどんちゃん騒ぎしている姿と同じである。だが、値段はけして安くはない。馬刺しの盛り合わせは170元(3000円)ほど。飲み物も20元〜30元(300円〜500円)と、日本の居酒屋と同じ、いや為替の影響もあるが日本より高いかも知れない。上海の若者はお金を持っているな〜とあらためて驚かされるのである。

じつは、上海の日系飲食店がみなうまくいっているかというと、そんなことはない。苦戦している店は総じて日本人客をターゲットに経営している店だ。日本人はお金を使わなくなった、人数が減ったという話はどこへ行っても聞く。中国で成功している店は、西頭のようにローカルの客層をつかんだ店に限られているのである。

日本人相手では、もはや中国の大都市でも経営をしていくのが困難な時代になったといってよいだろう。これはたんに人数だけの問題ではない。ローカルの人たちのほうが、消費力があるから…としか言いようがない。

ところで西頭は、日本に15軒の店舗と精肉加工工場があり、馬肉問屋を保有して馬肉刺身•馬肉焼肉•牛雑鍋を取り扱う飲食グループである。上海店は中国遼寧省大連から馬肉を調達しているという。今後は、上海でまず5店舗を目指すと阿地知総経理の鼻息は荒いが、このまま順調に店舗を伸ばしていけるのか注目してみたい。  (M.E)

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