ベビー商品購入の傾向
去る6月1日は『六一児童節』と呼ばれる子どもの日でした。この日は、1949年にモスクワで開かれた国際民主婦人連盟の会議において決められた記念日で、子どもの権利を尊重し、成長を祝うことなどを目的としています。中国では1950年から実施されていますが、現在は午前に学校でお祝いイベントを開催し、半日休暇となる午後は家族で買い物に出かけたり、イベント活動に参加したりするようです。両親や祖父母からプレゼント攻撃にあう子どもたちにとっては、大変楽しみな記念日のひとつです。
ネット通販でのセールや日本旅行中の爆買いなどで見られる消費行動は、もちろん「子どもの日」商戦でも遺憾なく発揮されます。オンライン、オフラインに関わらず、多くの店舗がこの日に焦点を合わせ、様々なキャンペーンを開催して消費者の注目を集めています。電子機器が普及してきた近年では、学習機やiPad、スマートウォッチが売上を伸ばしており、学習用品や書籍などが人気のプレゼントとなっています。
ここ数年、利用者が増加している海外通販では、粉ミルクやベビー服、おむつ、おもちゃなどのベビー用品が特に人気です。この度発表された『2016中国ベビー商品消費趨勢報告』にて様々な購買傾向が明らかになっています。21世紀経済研究院とネット通販の「京東」が共同で発表したこの報告では、一人っ子政策解禁によって経済成長率は0.5%程度引き上げられ、毎年新たに300億元のベビー関連の消費が生まれる予想されています。またベビー商品市場は年平均13%伸びるだろうと報告されています。
このほか同報告では、購買行動や商品データ、消費者の特徴などのデータを分析しています。人気のベビー用品ブランドは、HUGGIES、Pampers、Wyeth、花王など、ランキングトップ5が全て海外ブランドです。商品別に見ると、粉ミルクの人気ブランドトップ5のうち3つが米国ブランド、おむつの人気ブランドトップ5のうち3つが日本ブランド、というデータが発表。越境ECと言われる海外通販の普及も手伝って、輸入商品に拘って購入する人が4、5級都市(人口が50〜100万人以上の都市)にも増えてきています。上海や北京などの1級都市ではベビー商品ユーザーの71.05%が女性ですが、これが都市ランクの低い6級都市では79.5%まで跳ね上がるほど、女性の利用が顕著に現れています。購入商品を比率で分類したデータでは、都市ランクが下がるにつれて粉ミルクやベビー服の購入比率が上がっており、逆に、都市ランクの高い1級都市では、家庭教育・育児図書の比率が最も高くなっています。上海では、「保険」を子どもにプレゼントする人もいるという記事が紹介されていました。保険や保障が、資金運用において、重要な位置を占めるということを子どもに教えたいと考える親もいるようです。
一人っ子政策解禁によってベビー商品市場がどれだけ拡大するかという、前述した数字も大事ですが、広大な中国では、都市による差異を把握し、それぞれの需要に適した対応が必要になっているのは明らかですね。
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