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  ■中国市場への視点 (株)チャイナワーク


中国人旅行者の増加とおもてなしの日本


 先週末、家族と共に群馬県の温泉地に行ってきました。目的はスキーと温泉!街の中心地から徒歩10分程度の宿泊先には、企業の慰安旅行や大学ゼミの懇親会など団体旅行者のほか、外国からの旅行者の姿も見られました。チェックイン時の係員からは、中国からのツアーも受け入れていることから、食事時の混雑を避けるため多少時間をずらした方がいい、との話がありました。実際に大きな食事会場に出向くと、中国をはじめとしたアジアからの旅行者が多く見受けられました。食事はビュッフェ形式で、多種多様な料理が揃っており、外国人にも十分受け入れられる態勢が整えられていました。
 中国からの旅行者の様子を見ていると、何度か日本に旅行に来ているようで、温泉の入り方や施設の利用方法などは慣れている様子です。日本へのリピーター旅行客にとっては、東京や大阪、京都といったゴールデンルートよりも、少し内陸の地方でも十分楽しめるのでしょう。スマホを片手に、写真を撮ったり、SNS上に打ち込んだりしています。

先日、日本政府観光局(JNTO)が発表したデータによると、2016年1月の訪日外国人旅行者数は、前年同期比52%増の185万人となりました。この数字は1月としては過去最高の記録となりました。このうち中国からの旅行者数は前年同期比2.1倍の47万人に上ったと言います。海外からの旅行者数に関する表1をご覧ください。中国からの観光客数が順調に増加、2015年には中国人観光客が外国人旅行者数の25%を占めています。JNTOによると、2015年における中国人旅行者一人あたりの消費額は1万6000元に達しており、ほか外国人旅行者の消費額平均よりも43%も高いというデータもあります。「爆買い」という言葉が生まれるほど、中国人による買物が日本の一部市場に利益をもたらしました。

表1
(出所:日本政府観光局(JNTO)とIMF公表データをもとに、チャイナワークが作表。)

 中国人旅行者の増加要因の一つに円安が挙げられます。中国人旅行者が年間100万人に到達した2008年の平均為替レートは1元=14.88円、2015年では平均で1元=19.44円となっており、7年間で30%以上人民元が高くなっています。またこのほか、個人の所得も増加していることも要因として挙げられます。下の表2をご覧ください。2015年の人民元レートは前年比約12.7%上昇していますが、同年における一人あたりのGDPも前年比11.52%あまり増加しています。為替レートだけではなく、国民の経済力も大いに影響していることも分かります。

表2
(出所:日本政府観光局(JNTO)とIMF、中国国家統計局の公表データをもとに、チャイナワークが作表。)

中国の国民個人の経済力が豊かになっているということは、社会における責任も多くなっている、ストレスの多い社会になっていると想像することができます。昨年7月人民網に「ストレスを最も抱えているのは上海人」という記事がありました。これは旅行サイトのストレスに関する調査結果で、1位が上海、2位が北京、3位がシンセンと続いています。回答者のうち、ストレス解消法として旅行を挙げているユーザーは76.4%に上っています。このような社会の状況から、日本へ旅行をする目的は、買物だけではなく、「おもてなし」のサービスや大自然を感じに癒しを求めてきているのではないでしょうか。

最近日本のテレビ番組では、外国人が日本の文化を嗜み、生活を楽しんでいる様子が放送されています。外国人が日本の文化を嗜み、楽しみ、受け入れている様子を見ていると、私たち日本人が改めて日本の良さに気付きます。中国とはお隣同士と雖も、いろいろな意味で近い国ではありません。それでもやはり日本の良さ、日本のおもてなしの心をぜひ感じてほしいと思います。

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