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  ■中国市場への視点 (株)チャイナワーク


若者を中心に浸透しているモバイル決済


 先日上海で、ある販売会を開催したときのこと、出展企業は現金払いのほか銀聯カードにも対応できるよう準備して臨んだものの、買い物客からは携帯の決済アプリで支払いたいという要望がかなり多かったのです。それからまもなくして、上海市内のカルフールで買い物したときにも、携帯を取り出し、レジ店員がバーコードを読み取り、支払い完了という光景を見かけ、モバイル決済の利用が進んでいるのだと感じました。どうやらカルフール中国は、5月下旬からインターネット関連サービス大手・テンセントの業務提携により、テンセントのモバイル決済システムである「Wechatペイメント(微信支付)」での支払いが可能になったそうです。まずは13店舗での導入から始まり、今後は中国国内の237店舗に拡大していくそうです。

 中国で使用されている代表的なモバイル決済アプリは二つあります。まず前述の通り、カルフールでも導入されたテンセントの「Wechatペイメント」。テンセントはSNSアプリのWechat(微信)によりユーザー数が5億人以上に達しており、そのユーザー達における決済機能利用が急増しています。もう一つは、アリババの「アリペイ(支付宝)」で、タオバオやTモールなど中国ネットショッピング業界市場最大手のアリババが運営する第三者決済システムです。

 さて、冒頭で述べた販売会では、Wechatペイメントやアリペイに搭載されている「当面付」という機能で支払う人を多く見受けました。これは、対面支払い機能のことで、代金の支払い側と受け取り側の双方が決済アプリを開き、それら携帯2台を近づけて、電波で電子マネーを往来させ支払うという機能です。「当面付」機能では、インターネットバンキングのように相手の口座情報を入力する手間がなく、支払い操作も至って簡単。その上、手数料などもなく、スピーディに決済できるため、個々人の金銭のやりとりにも使用されています。例えば友人と食事した際の割り勘などです。一人が代表で支払いを済ませ、その他大勢は支払った人にこの機能を使って支払うようです。確かに、これだと面倒な小銭のやりとりもなく便利です。まさに、「当面付」は最近のトレンドであるO2O(Online to Offline、オンライン取引と実店舗の双方を相互作用させる仕組み)と消費者ニーズを汲んだ機能です。
 カルフールでモバイル決済をしている買い物客を見かけた際にまず思ったのは、いつも長蛇の列をなしているカルフールのレジで、モバイル決済する人が増えれば、数秒で支払いが完了できるから混雑が緩和に役立つ、ということでした。しかしそれよりも、実店舗展開で発展と衰退を迎えているカルフールにとって、モバイル決済により得られるメリットは、顧客情報や消費状況に関するデータを収集できることでしょう。そして、そのデータをもとに、販促やマーケティングに活用し、顧客ニーズを割引クーポンやポイントサービスなどに反映することができます。

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