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  ■中国市場への視点 (株)チャイナワーク


新たな資金調達方法 
『店頭取引(OTC)市場への株式公開』


 中国国内販売が活況な日本企業は、円安・人民元高の追い風に乗って、右肩上がりの成長を遂げています。日本国内の市場が縮小傾向にある中、中国に現地法人を有する日本企業にとって、現地調達や現地販売を推進することは日本本社の経営を支えることにつながっています。
 ところで先日、中国の店頭取引(OTC)市場の一つである上海股権托管交易センター内に事務所を構える投資コンサルティング会社を訪問したときのこと、最近は資金調達方法にも現地化のニーズが高まっているという話を聞きました。中国の日系企業が資金調達をする場合、従来は増資か親子ローンを組むことで、いずれも日本本社からの出資に頼るものでした。ところが、中国の店頭市場に株式公開をすることで、現地にて資金調達をすることが外資企業にも開放されたため、これにより資金調達を検討する日本企業が増えているのです。
 日本でも報道されている通り、今年1月末に、日系企業4社が上海OTC市場に登録しました。これは日系企業としては初めてのケースです。4社の業界はブライダル・美容・不動産・教育関連などいずれもサービス業で、中国市場における事業拡大のための資金調達やブランド力向上を目的としています。そのほか、現地のインフラやノウハウを持つ中国投資家を探す手段にも活用されるようです。

 さて、上海股権托管交易センターのOTC市場には「Qボード」と「Eボード」という二つの市場があり、上述の日系企業4社は参入基準がより低いQボードに公開しました。中国国内に複数あるOTC市場の中でもQボードがあるのは上海股権托管交易センターだけです。
 Qボードへの参入は、実態の無いペーパーカンパニーや重大なコンプライアンス違反会社を除く非上場企業であれば株式公開が可能というほど、参入条件は非常に低いものです。日系企業は実態がありコンプライアンスを遵守している上、安定した経営状況と管理面におけるコーポレートガバナンスが確立している企業がほとんどですから、Qボードよりも条件の厳しいEボードへの参入条件を既に具備している企業が少なくありません。
 店頭取引市場に登録すると、一定条件付きでの未公開株の売買、第三者割当増資、私募債の発行が可能になり、これらが外資系企業の新たな資金調達方法となりうるのです。この店頭取引市場の投資家は、証券取引市場などのメイン市場に比べて、機関投資家やプロの個人投資家が多い傾向にあります。また、オンライン上で株式公開されても実際の売買取引はオフライン、つまり企業と投資家の間での交渉によって決定するため、企業自身が投資家を選ぶことができます。

 訪問した投資コンサルティング会社によると、日系企業は技術力を持って安定的な経営をしている企業が多く、投資家にとっては非常に魅力的な投資先だと考えられている傾向があります。
全ての日系企業にQボードやEボードへの参入が適しているわけではありませんが、ハイテク・環境関連の技術力を持つ企業や小売サービス業等の中国現地に精通したパートナーを必要としている企業或いはフランチャイズや店舗展開を計画している企業にとっては検討に値する資金調達方法と言えます。

 上海OTC市場への登録について関心のある方は、弊社までお問い合わせください。


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