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  ■中国市場への視点 (株)チャイナワーク


中国ネットユーザーの関心事

 この度、上海の復旦大学伝播・国家治理研究センターが「中国インターネット社会心理報告(2014)を発表しました。1,800人を対象に調査され、8カ月かけてまとめたもので、「社会問題」、「社会情緒」、「集団アイデンティティとインターネット活動」、「社会思潮」の4つの部分に分かれ、ネットユーザーの心理状態が明らかになりました。
 同報告によると、社会で注目されたのは、『腐敗撲滅』、『不動産価格』、『所得分配』、『環境保護』、『戸籍』、『医療』、『食品の安全』、『就職』、『教育』、『老後』、『民族』、『宗教』など12の話題でした。これらの中で最も言及が多かったのは『教育』で、次に『腐敗撲滅』が続きました。
 所謂「ぜいたく禁止令」をはじめとした『腐敗撲滅運動』は多くのネットユーザーに支持され、調査対象の61.6%が楽観的な見方を持っています。その一方で、16.9%が現行の腐敗撲滅政策に対して不満を持ち、効果的な腐敗撲滅方法についての意見を示していますが、引き続き汚職関係者を取り締まることについては、賛同しています。

 また、同報告によると、普遍的なマイナスの感情として、約半数の44.7%が『不公平感』を、41.3%が『不安感』を抱いていることが分かっています。このうち、『不公平感』を最も強く抱いているのは、1970年代生まれのグループ(51.2%)で、社会階層別における底辺のグループ(64.8%)が中国のミニブログ「微博」を通してその『不公平感』を表していました。学歴別では、最終学歴が大専(短大、高等職業学校)の回答者が強く『不公平感』を抱いていることが分かりました。
 さらに、『不安感』についても、70年代まれのグループが最も強く抱いており、50年代生まれや60年代生まれの半数以上も『不安感』を抱いていました。社会階層別においても底辺のグループ(50.5%)が最も強く『不安感』を抱いていますが、次に多かったのがビジネス界のエリートや資産家(45.8%)で、貧富どちらの層も『不安感』を強く抱いていることが分かりました。

 同報告では最後に、調査対象ネットユーザーの53.3%が将来の政治形勢に楽観的であるのに対して、将来の経済に楽観的であるユーザーは82.5%に達するという、“経高政低”の傾向を示しています。奇しくも、10月21日に7〜9月期のGDP成長率が7.3%と発表され、中国経済の減速が世界に及ぼす悪影響が懸念されているところですが、景気減速の主因と見られている不動産市場テコ入れのために住宅購入規制を緩和した政府の動きに対してネットユーザーが抱いているのは、『不安感』でしょうか。それとも、『楽観的』なのでしょうか。


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