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  ■中国市場への視点 (株)チャイナワーク


新エネ車購入に新たな優遇政策 
          −新エネ車購入税が免税に−


 上海では今週始めに梅雨明けを迎え、既に真夏日が訪れています。例年であれば、夏になると海から南よりの風が吹くため、青空が見えるのですが、今年は夏になっても淀んだ空気に覆われており、概ね汚染指数(AQI)100以上の「軽度汚染」が続いています。汚染の原因は数多くありますが、その主な原因の一つに、自動車からの排気ガスが挙げられます。
 そこで、中国政府や地方政府はこれまで、電気自動車(EV)やブラグインハイブリッド車(PHV)などの新エネ車の普及を支援する政策を打ち出してきました。そして先日、新たな政策として新エネ車の購入税撤廃が発表されました。今月9日、国務院常務会議での李克強総理の発表によると、今年9月1日から2017年末までの間に、中国国内で販売許可を得た新エネ車の購入税を撤廃するとのこと。この優遇税制は輸入車へも適用されますが、適用可能な免税車のリストは、現在関連部門にて作成中で、今後発表される見通しです。
EV、PHV(航続距離延長型電気自動車(EREV)を含む)、燃料電池車(FCV)の3種。

 目下、新エネ車の普及にとって最大の障壁なのが、その価格の高さです。そこで、中国政府は2010年に「新エネ車の個人購入に関する補助金施行地域の通知」を公布し、上海・長春・深セン・杭州・合肥の5都市において、新エネ車の購入・リース・補修・交換に関して補助金を給付しました。これにより、EV車の購入には最高6万元、PHV車の購入には最高5万元の補助金が交付されることになりました。その後、昨年9月に「新エネ車支援の持続発展に関する適用業務の通知」を公布し、各種補助金の交付額が調整されものの、2015年末まで優遇措置は継続することとなり、EV車購入に対しては、引き続き最高6万元の補助金が受けられることとなっています。

 一方、北京・上海・広州・深センなどの地方政府も、各自で補助金交付などの支援政策を実施してきました。例えば、上海では2012年に「上海市新エネ車の使用及び個人購入促進のための試験実施暫定弁法」を公布し、EV車の購入には4万元、PHV車の購入には3万元の補助金を交付することに加えて、ナンバープレートを無料で取得できるという優遇措置を実施しています。上海では自動車台数規制のために、ナンバープレートは入札で取得する仕組みとなっており、現在では入札価格が7〜10万元前後ですので、ナンバープレートの無料化も軽視できない大きな優遇です。
 このような、中央政府と地方政府の支援政策を背景として、新エネ車の販売台数は年々、販売台数を伸ばしています。3年前、新エネ車販売台数は年間約8000台ほどだったのに比べ、昨年は1.75万台、今年は上半期だけで2万台以上となっています。上述の補助金交付に加えて、10%の購入税が免税になるということで、7月10日付け人民日報電子版記事によると、業界関係者の間では年間5万台を突破すると見られています。

 国務院の「省エネ・新エネルギー自動車産業発展計画」で、2015年までに新エネ車の累計生産販売台数を50万台に、2020年までには500万台にするという目標が掲げられており、今後も新たな支援政策の発表が期待されます。ただし、新エネ車の普及には価格面での後押しだけでは十分ではありません。昨年、中国自動車メーカーBYDの電気自動車が、充電中に爆発する事故が発生し、充電スタンド以外の充電は禁止されています。新エネ車が増加するためには、資金的な支援に加えて、電気スタンドなどのインフラ整備が急務です。


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