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■中国市場の視点

中国茶輸出大異変

中国のお茶の輸出量は2001年に24万トンを超え、増加を続けている。しかし、その反面、お茶の輸出価格は1980年代から下落基調にあり、2002年についに世界主要輸出国の価格最低水準となる1キロ当たりのおよそ1.4米ドルに下落してしまい、昨年比で下げ幅は9.6%に達した。とくに緑茶・特種茶輸出の世界シェアの85%を握っている中国は、本来相場の形成にイニシアティブを握っているはずだが、ここの十数年間、相場を維持するどころか、下落を招き相場を崩している。お茶の生産、販売企業は利益大幅減少ないし赤字経営への転落を余儀なくされた。 

1.相場下落を招いた元凶とされる「無秩序競争」

中国茶は下落基調に転落する以前は、大口輸出商品の緑茶と特種茶は年に2、3度の価格引き上げはあったものの、近年の状況はそれまでとは異なり、生産者、販売会社、輸出業者間のいわゆる「無秩序競争」により下落に転じたもので、競争が激化する中、回復の兆しすら見えていない。インド、スリランカ、ケニアなどの主要輸出国に比べ、もっとも低価格の輸出国となっている。

過去全国に4社しかなかった輸出公司は、現在70社を超えるまでになっている。このような過度な業者乱立、そして輸出ライセンスの規制緩和により「無秩序競争」状態が引き起こされ、中国茶輸出の下げ相場を作ってしまったと言える。また、輸出茶に占められる高級茶が少なくなり、代わりに中級品と下級品のウエイトが高まっているのも原因の一つとされ、さらには、国内茶市場の供給過剰や国際市場のニーズへの不適応等々が原因として取上げられている。 

2.高い農薬残留量は中国茶の品質を落としている

安徽省は中国の主要茶葉生産地であり、「黄山毛峰」や「六安瓜片」は緑茶の名品として高く評価され、多く輸出されてきた。しかし、近年その量が減り、特にEU向けは大幅減少となり、1999年の1300トンから2000年の912トンへと約30%激減したが、その原因は茶葉の高い農薬残留量問題によるものである。これは安徽省だけではなく、各茶葉生産地に普遍的に存在している問題である。農薬残留量は中国国家基準を超えており、その中には数倍、数十倍基準より高いものもあると言われている。中国政府や省クラスの地方政府がいくら厳しく管理しようとしても、茶葉生産者の直接管理者はやはり省の下の各県・郷鎮政府である。彼らは高い農薬残留量の危害性をあまり理解しておらず、農民の農薬使用を野放しにするところも少なくない。特に農薬の流通は他の一般商品と同様、特別に管理されていないのが現状で、個人業者や不法業者は、大量の植物に使用禁止の農薬を農民に販売し、そのままお茶の栽培に使用されているのである。

昨年から政府はこの問題の解決に動き出し、農民への指導を強化している。そのため、安徽省の2001年のEU向け輸出量は2000年に比べ減少幅が縮小したことで、好転の兆しが見え始めたとされている。(続く) 

3.輸出茶相場の下落により生産・加工・輸出の各段階の経営を悪化

浙江省の新昌県は全国の「珠茶」(緑茶の種類)の三大輸出基地の一つだが、1980年代の年間輸出量の5500トンをピークに、1995年から下落の一途にたどり、2000年は2300トンに減少した。生産高も1600万元に下がり、キロ当たりわずか6.9元。特に春季と秋季の茶葉は1998年の約5300元/トンから2001年の3244元/トンに価格が下落した。 
収入の急減に浙江省にあった18社の国有生産業者は、いきなり1社しか残らないという窮地に陥ったのである。

4.政府の施策 

政府はこの現状を憂慮しており、施策を検討しているところである。肝心なことは生産者への環境基準厳守のPRであり、各主要産地の地方政府は管理強化に努め始めている。他に実施予定の政策は今後それぞれ発表される見通しである。

@政府の市場への価格形成や進出制度に干与の度を高め、法的環境整備に力を入れる。 
A生産や販売企業の買収や合併を進め、競争力を高める。
Bお茶の輸出ライセンス制度を強化し、不法業者の締め出しを図る。 
C業務の能率を高める為に輸出割当の申請先は中央政府主管部門の対外貿易合作部から民間管理団体の中国食品土畜輸出入商会に変更する。 

■中国と世界主要お茶輸出国の輸出価格比較 (単位:米ドル/s)
         1980年   1990年    1995年   1999年   2000年
中 国:     (2.35)、(2.11)、(1.64)、(1.70)、(1.52)
インド:    (2.43)、(3.01)、(2.19)、(2.21)、(2.08)
スリランカ:(2.01)、(2.28)、(1.96)、(2.28)、(2.38)
ケニア:    (2.09)、(1.62)、(1.53)、(1.92)、(2.29)

株)チャイナワーク 孫 光


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