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第22回 社内規定と労務管理 

   中国に現地法人を設立した場合、合弁であれ独資であれ、企業組織を運営する以上、明文化されたルールが絶対に必要です。特に以下の四規程は必須と言えるでしょう。

@董事会運営規則

   董事会運営規則を設定するうえでもっとも重要なことは定足数の算定基準や議決ルールです。そのほかにも、正副董事長、董事、正副総経理の権限を具体的に定めることにあります。特に現場で大きな力を持つ総経理の権限については事細かに明確かつ具体的に定めておくことが必要でしょう。また、中国側の董事長や董事が権限執行を拒否した場合の対策(権限代行委任ルール)や、董事会議事録への署名ルール、その保存取り扱い手続き、通訳ルール等が重要なポイントになります。

A就業規則
   就業規則においては、日本の一般常識が通用しない中国の職場において、「暗黙の了解」、いわゆる常識的な事項を、ワーカーに対していかにわかりやすくルール化していくか、ということが大きなポイントになります。また、医療費の負担基準、長期病欠者や労働災害に遭った者への対処など社会保険に係わる事項も就業規則の中では具体的に規程しなければなりません。

B作業標準マニュアル
   作業標準とは、まさに就業マニュアルのことです。ワーカーの大多数を占める農村からの出稼ぎ子女に、どのように作業手順を理解させるか、どのように効率的に高品質の作業を定着させていくか、多くのキーとなる部分がこのマニユアルにかかっています。わが国で言えば、内職回りの担当者がパートの主婦を指導するときに使用する説明図、写真、作業説明、注意事項集、検査基準などに相当するものです。これを彼女たちがわかる言葉で、わかるように説明する必要があり、その出来栄え如何が事業の明暗を分けると言っても過言ではないでしょう。

C経営理念
   集団主義と精神的刺激がまだ組織インセンティブの主流にある中国では、個人の罰金ルールばかりでなく、組織として遠大で理想的な経営理念を掲げて、従業員一丸となって奮闘することが求められますし、それが可能な社会です。

 さて、以上の社内規定を作成するうえで、日本と中国の労務管理では何が根本的に違うか、どんなことに気を付けたら良いかについてまとめてみましょう。日本と中国で大きく異なると思われる点は以下のとおりです。

@有給休暇制度がなく、年間稼動日数が300日、残業を希望する

A年二回のボーナス制度がなく、賞与は毎月の給与に含まれている

B全国的な健康保険制度がまだない

C国民年金制度も未整備である

Dこれら社会保険をも含めた個人の生活(結婚、出産、学校、病院など)全般が公司に全面的に帰属し、経営者は従業員個人と家族の全生活にわたって面倒を見なければならないという「社会的常識」がある。ただし私営企業の出現、外資系企業の増加、国有企業リストラにより、従来のこの「親方五星紅旗」システムは崩れつつある。

E「直訴、密告」の風習がある

F社内に党組織がある場合、「多頭管理」に陥り易い

   特にわが国と著しく異なるのがDEFの部分であり、それゆえに結婚許可、出産許可、献血手当、散髪・自転車手当なるものが存在し、「解雇」は「社会的追放」に等しく、「何でも社用で済ませる」という公私混同の悪しき習慣が残っています。これを温存したままで、ルールも作らずに中国側スタッフに会社の運営を任せると、著しく社内モラルが低下し、生産効率が悪化します。日本側経営者としては現代的企業経営手法を導入して、自主的で効率的な管理体系を作り出していかなければ、中国ビジネスは必ず失敗します。

  (・・・続く)

…「チャイナリスク」、「チャイナビジネス」著者 筧 武雄

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